ウスネア (Usnea)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Usnea barbata(ウスネア・バルバータ)、Usnea filipendula、Usnea florida など

ウスネア科 (Usneaceae)

注意

オークモス(Oak Moss:Evernia属)という地衣類と混同しないよう注意。


概要

ウスネア属は、木に付着して成長する地衣類(菌類と藻類の共生体)です。
伝統的に、主成分であるウスニン酸(usnic acid)が抗炎症作用や抗菌作用を持つとして、薬用に用いられてきました。


安全性

■「外用」でおそらく安全
適切に使用する限り、外用での安全性は認められています。

■「経口」でおそらく危険
ウスニン酸を含む製品で肝障害(肝毒性)の報告があります。

■ 妊娠・授乳中
情報不足のため使用を避けるべきです。


副作用

■ 一般

  • 経口摂取は危険で、肝障害の可能性があります。
  • 外用では通常良好に耐えられますが、一部で皮膚刺激や接触皮膚炎、結膜炎の報告があります。

■ 主な副作用

  • 【外用】接触皮膚炎、局所刺激、結膜炎
  • 【経口】肝障害(まれだが重篤)

効能

■「効果について信頼できる情報が不十分」


  1.  経口摂取による咳止め効果については、十分な研究がありません。

  2. ヒトパピローマウイルス(HPV)
     ウスニン酸外用剤が他成分と併用された研究例はありますが、単独での効果は不明です。


用法・用量

■ 成人(外用)

  • 研究不足のため、標準的な使用量は不明。

■ 経口摂取は避けるべきです。


有効成分・製剤化

■ 主成分

  • ウスニン酸(usnic acid):ウスネア乾燥重量の1~3%
  • 他:タムノール酸、ロバール酸、スティクチン酸、エベルニン酸、バルバチン酸、ディフラクタ酸、プロトセトラル酸 など
  • フェノール化合物も含有

■ 標準化に関する十分な情報はありません。


相互作用

■「薬剤との相互作用」
 特に報告なし。

■「サプリメントとの相互作用」
 特に報告なし。

■「疾患との相互作用」

  • 肝疾患患者:肝毒性リスクがあるため避けるべきです。

■「検査値への影響」
 特に報告なし。


過剰摂取

過剰摂取時の症状や治療に関する十分な情報はありません。


薬物動態

吸収・代謝・排泄に関する詳細情報は不明です。


作用機序

■ 一般

  • ウスニン酸を中心とする地衣酸類が有効成分と考えられています。

■ 鎮痛作用

  • ウスニン酸、ディフラクタ酸がプロスタグランジン合成を阻害し、鎮痛作用を示す可能性。

■ 抗がん作用

  • 白血病細胞やその他のがん細胞に対する細胞増殖抑制作用を確認。

■ 抗炎症作用

  • プロスタグランジン合成阻害による抗炎症作用が示唆されています。

■ 抗菌・抗真菌作用

  • グラム陽性菌、陰性菌、真菌に対する広範な抗菌作用。

■ 抗寄生虫作用

  • プロトゾアに対する溶解作用が報告されています。

■ 解熱作用

  • プロスタグランジン合成阻害による解熱作用が示唆。

■ 抗ウイルス作用

  • RNA転写を阻害し、抗ウイルス効果を示す可能性。

■ 胃粘膜保護作用

  • 抗酸化作用により胃潰瘍モデルで胃損傷を軽減。

■ 肝毒性

  • ミトコンドリア機能障害、酸化ストレス誘発、細胞膜損傷などにより肝障害を引き起こすと考えられています。

■ 神経保護作用

  • パーキンソン病モデルで運動機能改善、ドーパミン神経保護作用を示唆。

■ 体重減少効果(疑わしい)

  • ウスニン酸が酸化的リン酸化脱共役を引き起こし、脂肪燃焼を促進するとされるが、安全性に問題あり。

分類

  • 肝毒性物質(Hepatotoxic Agents)

参考文献:

  • Natural Medicines Comprehensive Database
  • 厚生労働省「統合医療」情報発信サイト
  • 米国食品医薬品局(FDA)肝障害報告資料

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