概要
オレイン酸は、単価不飽和脂肪酸であり、必須脂肪酸ではありません。オリーブオイル、キャノーラ油、高オレイン酸キャノーラ油、高オレイン酸ヒマワリ油などの食品に多く含まれています。また、これらの油を多く含む地中海式食事法でも広く摂取されています。米国食品医薬品局(FDA)は、オレイン酸を70%以上含む油を1日約20グラム(1.5テーブルスプーン)摂取することで冠動脈性心疾患(CHD)のリスクが低下する可能性があるとする限定的な健康表示を許可しています(98563)。
安全性
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おそらく安全:
食品中の成分として経口摂取する場合は安全とされています(26466,90681,94452,101821,101824,101828,101830,101838)。
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妊娠および授乳中:
食品中の量を超えた摂取については信頼できる情報が不足しているため、避けるべきです。
副作用
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一般的な副作用:
オレイン酸を含む油脂を食事で摂取する場合、通常はよく耐容されます。一部の患者では一時的に口や喉に焼けるような感覚が報告されています(101848)。
効果
おそらく効果的
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冠動脈性心疾患(CHD):
オレイン酸を豊富に含む油を使用することで、CHDリスクが低下する可能性が示されています。FDAは、飽和脂肪を多く含む油を70%以上のオレイン酸を含む油に置き換えることで、CHDのリスクを減少させる可能性があるとしています(98563)。ただし、これには総摂取カロリーを増加させないことが条件です。
信頼できる証拠が不十分
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糖尿病:
一部の研究では、オレイン酸を多く含む食事が空腹時血糖値を低下させることが示されています(8132)。しかし、サプリメントとしての効果は明らかではありません。
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下痢:
慢性下痢の患者で、食前に1.6 mLまたは3.2 mLのオレイン酸を摂取することで、24時間以内の排便回数が22%減少したという報告があります(101848)。
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肥満:
一部の研究では、高オレイン酸キャノーラ油を摂取することで腹部脂肪が減少する可能性が示されていますが、その効果は小さいです(98564)。
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その他の用途(乳がん、膵臓がん、潰瘍性大腸炎など):
オレイン酸の摂取とこれらの状態との関係に関する研究は限定的であり、さらなる調査が必要です。
用法と投与量
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成人:
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冠動脈性心疾患(CHD): 飽和脂肪を多く含む油をオレイン酸70%以上含む油(20グラム/1.5テーブルスプーン)に置き換える方法が用いられています(98563)。
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下痢: 食前に1.6 mLまたは3.2 mLのオレイン酸を単回投与(101848)。
相互作用
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薬物との相互作用:
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糖尿病治療薬:
オレイン酸がインスリン感受性を高める可能性があり、糖尿病薬の効果を増強する可能性があります(8132)。そのため、血糖値を注意深く監視する必要があります。
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サプリメントとの相互作用:
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低血糖を引き起こす可能性のあるハーブやサプリメント:
理論的には、オレイン酸と組み合わせることで低血糖のリスクが増加する可能性があります。
作用機序
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抗炎症作用:
オレイン酸は白血球の血管内皮細胞への付着を阻害し、炎症性サイトカインの発現を抑制する可能性があります(101837)。
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心血管への効果:
LDLコレステロールの減少に関連し、動脈壁へのLDL粒子の結合を防止する可能性があります(98567)。
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体重管理:
オレイン酸は満腹感を高め、食事誘発性熱産生を促進する可能性があります(90681,98589)。
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抗酸化作用:
肝細胞における酸化ストレスを軽減し、パルミチン酸によるアポトーシスを防止することが示されています(101845)。
注意事項
オレイン酸は、食事や油脂として摂取する場合は一般的に安全です。しかし、健康目的で高用量を摂取する場合や特定の疾患を対象とする場合は、医師の指導の下で行うべきです。
References