チラミン (Tyramine)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Tyramine(チラミン)

該当なし

注意

N-メチルチラミン(N-methyltyramine)とは別の化学物質です。


概要

チラミンは、ヒトや動物、さまざまな食品に自然に存在する化学物質(生体アミン)です。
以下のような食品に多く含まれます。

  • 生ハムや乾燥ソーセージなどの加工肉
  • 熟成チーズ
  • 一部の醤油
  • 発酵または保存された豆腐
  • ザワークラウト(発酵キャベツ)
  • 酵母エキス
  • ワイン、ビールなどの発酵飲料

近年の発酵方法では、従来よりチラミン含有量が少なくなっているとされています。

また、一部サプリメントにも含まれることがあります。
アカシア・リジドラ(Acacia rigidula)という植物由来と表示されることがありますが、この植物の葉や小枝には微量のチラミンが含まれます。


安全性

■「食品中に含まれる量」ではおそらく安全
欧州食品安全機関(EFSA)は、1食あたり600mg以下のチラミンは健康な人に有害影響を及ぼさないとしています。

■「600mg以上摂取」でおそらく危険
高用量では血管収縮や高血圧リスクがあります。

■ サプリメントとしての安全性については情報不足。

■ 妊娠・授乳中
情報不足のため使用を避けるべきです。


副作用

■ 一般
食品中のチラミンは通常良好に耐えられますが、600mg以上で血圧上昇などのリスクが高まります。


効能

■「効果について信頼できる情報が不十分」

  1. 運動能力向上
     関心はありますが、効果を示す十分な証拠はありません。

  2. 肥満
     体重減少目的でも関心がありますが、効果について十分な証拠はありません。


用法・用量

■ 成人
研究不足により、典型的な摂取量は不明です。

■ チラミン含有食品例

  • 加工肉(生ハム、サラミ)
  • 熟成チーズ
  • 醤油
  • 発酵豆腐
  • ザワークラウト
  • 酵母エキス
  • ワイン、ビール

これら食品とサプリメントを併用すると、高血圧性危機(急激な血圧上昇)のリスクが高まります。


有効成分・製剤化

標準化に関する十分な情報はありません。


相互作用

■「薬剤との相互作用」

  1. アルコール
     アルコールと一緒に摂取すると、チラミンの副作用リスクが増す可能性があります。

  2. 降圧薬
     チラミンは血圧を上昇させるため、降圧薬の効果を弱める恐れがあります。

  3. MAO阻害薬(抗うつ薬など)
     重大な相互作用があります。
     チラミン分解が阻害されることで、血圧急上昇(高血圧性危機)を引き起こす可能性があります。

  4. 刺激薬(カフェイン、エフェドリンなど)
     併用で心血管系への影響(心拍数増加、血圧上昇)のリスクがわずかに増加する可能性があります。

■「サプリメントとの相互作用」

  • 刺激作用を持つハーブ・サプリメント(マオウ、カフェインなど)と併用で、相乗的に心血管系副作用リスク増加。

禁忌・注意が必要な疾患

  • 高血圧
  • 片頭痛
  • 手術前後(血圧上昇リスク)

過剰摂取

過剰摂取時の症状や治療に関する十分な情報はありません。


薬物動態

■ 吸収

  • 経口摂取後、1時間以内に血中濃度がピークに達します。
  • 空腹時の方が吸収が速く、食事と一緒に摂ると吸収は遅れます。

■ 代謝

  • 主にモノアミン酸化酵素(MAO)により分解され、4-ヒドロキシフェニル酢酸(4-HPPA)などに変換。
  • 一部はドーパミン、オクトパミンにも変換。

■ 排泄

  • 主に尿中に代謝物として排泄。
  • 半減期は空腹時で約0.5時間、食後では最大3時間。

作用機序

■ 一般

  • チロシンから生成される「微量アミン」の一種。
  • 腐敗や発酵過程で微生物により生成されます。

■ 心血管系

  • 血圧上昇(主に収縮期血圧)
  • ノルアドレナリン放出促進 → 血管収縮・血圧上昇
  • MAO阻害薬服用時は、チラミンが分解されず急激な血圧上昇を引き起こす可能性あり。

■ 神経系

  • ノルアドレナリン分泌促進 → 自律神経刺激作用
  • 微量アミン受容体(TAAR)を介して神経伝達調節

■ 片頭痛

  • オクトパミン(チラミン代謝産物)が片頭痛誘発に関与する可能性あり。

■ 体重減少

  • 一部製品で「脂肪燃焼」目的で販売されていますが、脂肪分解促進効果は確認されていません。
     むしろ抗脂肪分解作用の可能性あり。

分類

  • 刺激剤(エネルギーブースター)

参考文献:

  • Natural Medicines Comprehensive Database
  • 欧州食品安全機関(EFSA)報告書
  • 厚生労働省「統合医療」情報発信サイト

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