ホスファチジルセリン(Phosphatidylserine)

投稿者 :リンクプロ on

概要

ホスファチジルセリンは体内で合成されるリン脂質の一種で、細胞膜のリン脂質二重層の構成要素として重要です。特に内側の表面に多く存在し、脳内ではミエリンを含む構造に高濃度で見られます。このリン脂質は神経細胞の膜機能や信号伝達、細胞間のコミュニケーションに関与しています。


安全性

  • 経口使用
    • おそらく安全:適切に使用すれば最大300 mg/日を6か月まで安全に使用できるとされています。
  • 小児での使用
    • おそらく安全:4~18歳の小児において200~300 mg/日を最大4か月まで安全に使用できるとされています。
  • 妊娠中・授乳中
    • 信頼できる情報が不足しているため、使用は避けるべきです。

副作用

  • 一般的な副作用
    • 胃腸障害(ガス、吐き気、消化不良)、頭痛、不眠などが報告されています。

有効性

おそらく有効

  1. 加齢に伴う認知機能低下
    • ウシ由来ホスファチジルセリンが注意力や記憶力を改善する可能性が示されています。
  2. アルツハイマー病
    • ウシ由来ホスファチジルセリンが認知機能や行動を改善する可能性があるが、植物由来の効果は明確ではありません。

信頼できる証拠が不十分

  • 運動パフォーマンス注意欠陥多動性障害(ADHD)うつ病など、多くの用途については効果が不明です。

投与量と使用方法

  • 成人の経口使用

    • 一般的に200~400 mg/日を1~3か月使用します。
  • 小児の経口使用

    • 研究データが限られており、推奨用量は明確ではありません。

相互作用

  • 薬剤との相互作用

    • 抗コリン薬:効果が減少する可能性があるため注意が必要です。
    • コリン作動薬:相加的な効果が現れる可能性があります。
  • サプリメントとの相互作用

    • 現時点で報告されていません。

作用機序

  1. 神経学的効果

    • ホスファチジルセリンは、細胞膜の内外環境の維持や信号伝達、細胞間の通信に重要な役割を果たします。また、神経細胞の膜構造を正常化することで、アセチルコリンやドーパミンなどの神経伝達物質レベルを向上させる可能性があります。
  2. 抗ストレス効果

    • 一部の研究では、ホスファチジルセリンが運動や精神的ストレスに伴うコルチゾール分泌の上昇を抑える可能性が示唆されています。
  3. 加齢関連の脳保護効果

    • 動物実験では、加齢に伴う脳のホスファチジルセリンレベルの低下を防ぎ、空間記憶や学習能力を改善する可能性が示されています。

まとめ

ホスファチジルセリンは、加齢に伴う認知機能低下やアルツハイマー病に対する可能性が示唆されていますが、多くの用途に関する証拠はまだ限定的です。適切な使用で副作用は少なく、特に記憶力や注意力の改善を目的とした補助食品として注目されています。

References

See Monograph References


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