ウィートグラス(Wheatgrass)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Triticum aestivum(シノニム:Triticum sativum, Frumentum triticum E.H.L. Krause)

科名

イネ科(Poaceae/Gramineae)


概要

ウィートグラスは、小麦(Triticum aestivum)の若葉のことで、スプラウト(発芽したばかりの芽)として利用されます (11165)。
原産地は西南アジアおよび地中海沿岸ですが、世界中で栽培されています (91572)。

📌 注意:ウィートブラン(Wheat Bran)やカウチグラス(Couch Grass)とは異なる植物です。


警告

🚨 アレルギー注意

  • 米国食品アレルゲン表示および消費者保護法(FALCPA, 2004)により、小麦は主要な食品アレルゲンとして認識されており、ウィートグラスを含む製品には「小麦成分」を明記する必要があります (105410)。

安全性

「おそらく安全(LIKELY SAFE)」(食品レベルの摂取量)

  • 一般的な食品量での摂取は安全とされる (5286)。

「おそらく安全(POSSIBLY SAFE)」(医療用途)

  • ウィートグラスジュース(60〜100mL/日)を18か月まで使用した研究で安全性が確認されている (11165,85601,104878,104879)。
  • ウィートグラス10%配合クリームを6週間まで使用した研究で安全性が確認されている (85602)。

📌 長期的な医療用途での安全性については十分なデータがない。

🚨 妊娠・授乳中:「安全性不明」(使用を避けるのが望ましい)


副作用

一般的に経口摂取では良好に耐容されるが、まれに副作用が報告される。

🚨 最も一般的な副作用

  • アレルギー反応
  • 食欲不振(アノレキシア, Anorexia)
  • 便秘
  • 吐き気

有効性

「証拠不十分(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE)」

📌 以下の疾患・症状への効果については、臨床研究が不足しており、十分な証拠がない。

  • 前立腺肥大症(BPH)
  • βサラセミア(ベータ地中海性貧血)
  • 気管支炎
  • がん
  • 風邪・咳・咽頭炎
  • 糖尿病
  • 痛風
  • 高コレステロール血症
  • 高血圧
  • 腎結石
  • 足底部痛(プラントヒールペイン)
  • 前立腺炎
  • 潰瘍性大腸炎

📌 さらなる研究が必要。


用量と使用方法

成人の使用量

📌 一般的な推奨摂取量は確立されていないが、以下の範囲で使用されることが多い。

  • ウィートグラスジュース:60〜100mL/日
  • ウィートグラスパウダー:適量(研究データなし)

小児の使用量

📌 子供への使用に関するデータは限られており、推奨摂取量は不明。


製品の形状と標準化

📌 ウィートグラスのサプリメントには以下の形状がある。

  • 新鮮または冷凍ジュース
  • 錠剤(タブレット)
  • 粉末(パウダー)

📌 ジュースは新鮮な状態で空腹時に摂取するのが最も有効とされる (11165)。
📌 粉末はフリーズドライまたはオーブンドライされるが、フリーズドライの方が抗酸化活性が高い (95906)。


相互作用

🚨 薬との相互作用

糖尿病治療薬(抗糖尿病薬)

  • ウィートグラスは血糖値を下げる可能性があり、糖尿病薬との併用で低血糖のリスクがある。

CYP1A2酵素基質

  • ウィートグラスはCYP1A2酵素の活性を変化させる可能性があり、一部の薬の効果を低下させる可能性がある。

🚨 サプリメントとの相互作用

血糖降下作用を持つハーブやサプリメント

  • ウィートグラスとの併用で低血糖のリスクが高まる可能性がある。

作用機序(Mechanism of Action)

ウィートグラスに含まれる成分

  • クロロフィル(葉緑素)
  • ビタミンA, C, E
  • 鉄、カルシウム、マグネシウム
  • アミノ酸

📌 ウィートグラスの健康効果は主にクロロフィルや抗酸化作用によるものと考えられる。

① 抗関節炎作用

  • 高クロロフィル飲料(ウィートグラスジュースを含む)は、関節リウマチの治療に利用されることがある (5286,6982)。

② 抗菌作用

  • ウィートグラスの成分「アグロピレン」は抗生物質のような作用を持つ (7162)。

③ 抗がん作用

  • ウィートグラスに含まれる「アピゲニン」は、がん細胞の増殖を抑制し、アポトーシス(細胞死)を誘導する可能性がある (93017)。
  • 大腸がんの補助化学療法中に60mL/日のウィートグラスジュースを摂取すると、腫瘍の進行を遅らせる可能性がある (104879)。

④ 抗糖尿病作用

  • 動物研究で、ウィートグラス抽出物(100mg/kg/日)の投与が血糖値を低下させる効果を示唆 (93018)。

⑤ 抗炎症作用

  • アピゲニンは抗炎症作用を持ち、潰瘍性大腸炎の改善に寄与する可能性がある (11165)。

⑥ 抗酸化作用

  • クロロフィルはミトコンドリア膜を保護し、放射線障害を軽減する可能性がある (93017)。

⑦ 鉄キレート作用

  • ウィートグラスジュースは、頻繁な輸血を必要とする患者(骨髄異形成症候群やβサラセミア)において鉄レベルを下げる可能性がある (93022)。

まとめ

ウィートグラスは栄養豊富で、抗酸化・抗炎症・抗がん作用が期待される。
安全性は高いが、低血糖リスクやCYP1A2酵素の影響には注意。
🚨 妊娠・授乳中の使用は避けるのが望ましい。
🚨 糖尿病薬との併用には注意が必要。

References

See Monograph References

 


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