サメ肝油(Shark Liver Oil)

投稿者 :リンクプロ on

学名

  • Cetorhinus maximus(ウバザメ)
  • Centrophorus squamosus(ギンザメの一種)
  • Squalus acanthias(トゲトゲドッグフィッシュ)

注意事項(CAUTION)

  • サメ肝油は以下の海洋オイルとは異なるため、混同しないように注意。
    • タラ肝油(Cod Liver Oil)
    • フィッシュオイル(Fish Oil)
    • クリルオイル(Krill Oil)
  • また、以下のサメ由来製品とも異なる。
    • 肝臓エキス(Liver Extract)
    • サメ軟骨(Shark Cartilage)
    • スクアラミン(Squalamine)

概要(Overview)

  • サメ肝油は、さまざまなサメの肝臓から抽出される。
  • アルキルグリセロール(Alkylglycerols)と呼ばれる成分を豊富に含む。
  • 日本、ノルウェー、アイスランドなどの北方漁業国で伝統的に使用されており、体力増強や創傷治癒の促進に利用されてきた。

安全性(Safety)

おそらく安全(POSSIBLY SAFE)

  • 経口摂取(短期間)
    • 1日 1.5g8週間 使用した臨床試験で安全性が示唆されている。

妊娠・授乳中の使用

  • 信頼できる十分な情報がないため、使用を避けるべき。

副作用(Adverse Effects)

一般的には良好に耐容される(well tolerated)。
以下の臓器系への影響が考えられるが、詳細な報告は少ない。

  • 心血管系(Cardiovascular)
  • 消化器系(Gastrointestinal)
  • 肝臓(Hepatic)
  • 呼吸器系(Pulmonary/Respiratory)

効果の有効性(Effectiveness)

📌 信頼できる十分な証拠がない(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE)

期待されているが証拠が不足している用途

  • がん(Cancer)
  • 化学療法による白血球減少症(Chemotherapy-induced leukopenia)
  • 風邪(Common cold)
  • インフルエンザ(Influenza)
  • 放射線療法による吐き気・嘔吐(Radiation-induced nausea and vomiting)
  • 創傷治癒(Wound healing)

🚨 これらの用途に関する臨床的な有効性は確認されていないため、さらなる研究が必要。


用法・用量(Dosing & Administration)

🔹 成人(経口摂取)

  • 研究が限られており、標準的な用量は確立されていない。

🔹 標準化された製品の例(Standardization & Formulation)

  • Egao Co., Ltdのサメ肝油製品(臨床研究に使用)
    • 400mgカプセル(内容成分)
      • サメ肝油 250mg
      • ゼラチン 97mg
      • グリセロール 34mg
      • デンプン 19mg
    • 成分標準化
      • スクアレン 38.8%
      • アルキルグリセロール 43.6%
      • オメガ3脂肪酸は微量

薬物・サプリメントとの相互作用(Interactions)

薬物との相互作用

  • 既知の相互作用なし。

サプリメントとの相互作用

  • 既知の相互作用なし。

特定の疾患との相互作用(Interactions with Conditions)

  • 高コレステロール血症(Hypercholesterolemia)(影響の可能性あり)

作用機序(Mechanism of Action)

主な成分

  • スクアレン(Squalene)
  • アルキルグリセロール(Alkylglycerols)(エーテル脂質)
    • 細胞膜リン脂質に取り込まれ、脂質シグナル伝達を変化させる可能性。
    • 代表的なアルキルグリセロール
      • 12:0, 14:0, 16:0, 18:0, 16:1 n-7, 18:1 n-9
      • 18:1 n-9 は全アルキルグリセロールの68%を占める。

期待される作用

  1. 抗がん作用(Anticancer effects)

    • 動物研究で腫瘍の成長を抑制することが示唆されている。
    • アルキルグリセロールによる血管新生(新しい血管の形成)阻害が関与。
    • 皮膚がん、腎臓がん、膀胱がんなどで効果が報告されているが、データに一貫性がない。
  2. 心血管系への作用(Cardiovascular effects)

    • 寒冷環境での血流低下を予防する可能性がある。
    • 赤血球の膜流動性を改善し、心血管の健康に寄与する可能性がある。
  3. 免疫作用(Immune effects)

    • 白血球・血小板数を増加させる可能性がある。
    • ワクチン接種後の免疫応答を増強する可能性がある。
  4. 男性の生殖機能への影響(Male fertility effects)

    • アルキルグリセロールが精子膜に取り込まれ、運動性を向上させる可能性。
  5. 放射線防御作用(Radioprotective effects)

    • 子宮がん治療を受ける患者において、放射線障害を軽減する可能性。

結論

サメ肝油は伝統的に使用されてきたが、臨床試験の証拠は限られている。
抗がん作用、免疫増強、心血管保護、放射線防御などの可能性があるが、ヒトでの有効性は未確定。
短期間の摂取は安全とされるが、妊娠・授乳中の使用は推奨されない。
さらなる研究が必要な成分であり、明確な治療目的での使用には慎重な判断が求められる。


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