スカルキャップ(Skullcap)

投稿者 :リンクプロ on

学名

  • Scutellaria lateriflora

科名

  • シソ科(Lamiaceae/Labiatae)

注意事項

  • バイカルスカルキャップ(Baikal Skullcap, Scutellaria baicalensis)と混同しないこと。

概要

スカルキャップは、アメリカおよびヨーロッパ原産の多年草で、伝統的に以下の作用を持つとされている

  • 抗不安作用(Anxiolytic)
  • 鎮静作用(Sedative)
  • 解熱作用(Antipyretic)
  • 抗炎症作用(Anti-inflammatory)
  • 抗けいれん作用(Antispasmodic)

⚠ 安全性

「スカルキャップの安全性に関する信頼できる情報は不足している」

🚨 妊娠・授乳中

  • 信頼できる情報がないため、使用を避けるべき。

⚠ 副作用

報告されている副作用

  • 認知機能障害(Cognitive impairment)
  • 消化器系の不調(Digestive disturbances)
  • 鎮静作用(Sedation)

過剰摂取による可能性のある症状

  • めまい、昏迷、意識混濁
  • 手足のけいれん
  • 発作(てんかん様症状)
  • 不規則な脈拍(「間欠的な脈拍」)

⚠ 効果(有効性)

❓ 「信頼できる十分な証拠がない(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE)」

1️⃣ 花粉症(Allergic Rhinitis, Hay Fever)

  • 花粉症への効果は不明。臨床研究が不足している。

2️⃣ 不安症(Anxiety)

  • スカルキャップが不安症状を軽減するかどうかは不明
  • 動物研究では、スカルキャップのフラボノイド(バイカリンなど)がGABA作動薬として作用し、鎮静・抗不安効果を持つ可能性がある
  • しかし、臨床試験では結果が一貫していない。

⚠ 用法・用量

  • 研究が限られており、標準的な投与量の情報は不明

⚠ 製品の標準化

  • スカルキャップは一般的に「ハーブティー」または「チンキ剤」として市販されている(12216)。
  • Eclectic Institute 社の「スカルキャップフリーズドライカプセル」が臨床研究で評価されているが、成分の標準化はされていない(91690)。
  • スカルキャップ製品の多くは「ゲルマンダー(Germander)」や「テウクリウム(Teucrium)」で偽和されていることがある。
  • 同じScutellaria属の別種(Western Skullcap, Southern Skullcap, Marsh Skullcap)が代用されることがあるが、フラボノイド成分が異なるため、互換性はない(12216)。

⚠ 相互作用

✅ 医薬品との相互作用

🚨 中枢神経抑制薬(CNS Depressants)

  • 相互作用レベル:中程度(注意が必要)
  • 重症度:高い
  • 発生可能性:あり
  • エビデンスレベル:D(理論的な予測)
  • スカルキャップは、中枢神経抑制作用を持つ薬剤(ベンゾジアゼピン、バルビツール酸系、抗ヒスタミン薬など)と併用すると、鎮静作用が増強される可能性がある。

✅ サプリメントとの相互作用

🚨 鎮静作用を持つハーブ・サプリメント

  • スカルキャップは他の鎮静系サプリメント(カヴァ、バレリアン、セントジョーンズワートなど)と併用すると、鎮静作用が増強される可能性がある。

⚠ 特定の病状との相互作用

🚨 周術期(Perioperative)

  • 鎮静作用があるため、手術前の使用は避けるべき。

⚠ 過剰摂取(オーバードーズ)

  • 過剰摂取による症状が報告されているが、詳細な情報は限られている。
  • 神経系の症状(昏迷、発作、意識混濁、筋肉のけいれん)が発生する可能性あり。
  • 治療法についての信頼できる情報は不足している。

⚠ 作用メカニズム

1️⃣ 主成分

  • フラボノイド:バイカリン(Baicalin)ワゴニン(Wogonin)
  • その他の成分:
    • スケテラリン(Scutellarin)
    • イコニコシド I(Ikonnikoside I)
    • メトキシフラボン(Methoxyflavone)
    • カタルポール(Catalpol)
    • リグニン、樹脂、タンニン、精油(Volatile Oils)
    • スケフロリンA/B(Scuteflorins A/B)
    • デクルシン(Decursin)
    • クリシン(Chrysin)
    • オロキシリンA(Oroxylin A)
    • ルペノール(Lupenol)
    • スケテラリック酸(Scutellaric Acid)
    • ポモリック酸(Pomolic Acid)
    • ウルソール酸(Ursolic Acid)
    • β-シトステロール(Beta-Sitosterol)
    • ダウコステロール(Daucosterol)
    • パルミチン酸(Palmitic Acid)

2️⃣ 抗不安・鎮静作用

  • フラボノイド(バイカリン、ワゴニン)がGABA作動薬として働き、ベンゾジアゼピン受容体に結合する可能性がある(74008)。
  • しかし、臨床研究では一貫した効果が確認されていない(12216,91690)。

3️⃣ セロトニン作動作用

  • スカルキャップの成分はセロトニン受容体(5-HT7)に結合するが、拮抗作用か作動作用かは不明(12104)。
  • セロトニン受容体の作用が鎮静効果に寄与している可能性がある。

⚠ まとめ

伝統的に抗不安、鎮静、抗炎症作用があるとされるが、科学的証拠は不十分。
GABA作動薬としての可能性があるが、臨床研究で一貫した効果は確認されていない。
CNS抑制薬や鎮静系サプリメントと併用すると、過度な鎮静のリスクがある。
安全性に関する情報が不足しており、妊娠・授乳中は使用を避けるべき。
手術前の使用は避けること。

References

See Monograph References

 


この投稿をシェアする



← 投稿順 新着順 →