セイヨウカンボク(Viburnum opulus)

投稿者 :リンクプロ on

  • 学名: Viburnum opulus(別名 Viburnum americanum, Viburnum trilobum
  • 科: レンプクソウ科 (Adoxaceae/Viburnaceae または スイカズラ科 Caprifoliaceae)

⚠️ 注意:

  • Viburnum opulus は「ハイカンボク(High Bush Cranberry)」または「クランベリー・ブッシュ(Cranberry Bush)」と呼ばれることがあるが、クランベリー(Cranberry)やリンゴンベリー(Lingonberry)、ウワウルシ(Uva Ursi)とは異なる植物であるため、混同しないように注意が必要。

概要(Overview)

セイヨウカンボクはヨーロッパ、北アフリカ、北アジア、北アメリカ原産の低木
世界中で観賞用植物として栽培されるだけでなく、伝統的な薬用植物としても利用されている(12229,46359,110885)。

伝統的な用途:

  • 呼吸器系や消化器系の症状の緩和
  • 不妊症の治療
  • 子宮や他の部位の出血の抑制
  • 糖尿病や高血圧の管理
  • 鎮痙作用(けいれんを抑える)、利尿作用、鎮静作用(110883,110885)。

安全性(Safety)

経口摂取

  • 安全性に関する信頼できる情報が不足している。

妊娠・授乳中(PREGNANCY AND LACTATION)

  • 安全性に関する情報が不十分なため、使用を避けるべき。

副作用(Adverse Effects)

  • 現在、報告されている副作用はないが、安全性評価が十分に行われていない。

効果(Effectiveness)

証拠が不十分なもの(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE TO RATE)

① 糖尿病(Diabetes)

  • 糖尿病管理のために使用されることがあるが、臨床的な有効性を示す十分な証拠がない。

② 月経困難症(Dysmenorrhea)

  • 月経痛を緩和する可能性があるが、臨床的な有効性を示す十分な証拠がない。

③ 腎結石(Kidney Stones, Nephrolithiasis)

  • 腎結石の管理に役立つ可能性があるが、その有効性は不明。

📌 結論: さらなる研究が必要。


投与量 & 使用方法(Dosing & Administration)

成人(Oral: 経口)

  • 研究が限られており、推奨用量は不明。

標準化 & 製剤化(Standardization & Formulation)

  • セイヨウカンボクの標準化に関する信頼できる情報は不足している。

相互作用(Interactions)

薬物との相互作用

  • 現在、知られている相互作用はない。

サプリメントとの相互作用

  • 現在、知られている相互作用はない。

疾患との相互作用

  • 現在、知られている相互作用はない。

臨床検査との相互作用

  • 現在、知られている相互作用はない。

過剰摂取(Overdose)

  • 過剰摂取の症状や治療法についての信頼できる情報は不足している。

薬理作用(Mechanism of Action)

一般的な特性

  • セイヨウカンボクの全草(特に樹皮・果実・花)が薬用に使用される。

  • 主な成分:

    • プロアントシアニジン(Proanthocyanidins)
    • フラバリグナン(Flavalignans)
    • ヒドロキシ桂皮酸(Hydroxycinnamic acids)
    • スコポレチン(Scopoletin)
    • ビオプディアル(Viopudial)(12229,46358,46359,110884)
  • 果実には多糖類(Polysaccharides)が含まれる:

    • ガラクツロン酸(Galacturonic acid)
    • ガラクトース(Galactose)
    • アラビノース(Arabinose)
    • マンノース(Mannose)
    • ラムノース(Rhamnose)(46354)。
  • 果実エキスには、フェノール化合物(Phenolic compounds)が豊富に含まれる:

    • フラバノール(Flavanols)
    • フラバリグナン(Flavalignans)
    • クロロゲン酸(Chlorogenic acid: 最も豊富な成分)(106520)。
  • 花にはウルソール酸(Ursolic acid)が含まれる(46356)。


主な薬理作用

① 抗菌作用(Antimicrobial Activity)

  • 試験管研究において、セイヨウカンボクには消毒作用があることが確認されている(46355)。

② 抗酸化作用(Antioxidant Activity)

  • 動物研究において、セイヨウカンボクは以下の酵素の活性を増加させた:
    • スーパーオキシドジスムターゼ(Superoxide dismutase)
    • カタラーゼ(Catalase)
    • グルタチオンペルオキシダーゼ(Glutathione peroxidase)
  • 試験管研究でも抗酸化活性が確認されている(46357,106520)。

③ 鎮痙作用(Antispasmodic Activity)

  • スコポレチン(Scopoletin)とビオプディアル(Viopudial)が平滑筋の痙攣を抑える作用を示した(12229,46359)。

④ 収れん作用(Astringent Activity)

  • セイヨウカンボクの抽出物は試験管研究において収れん作用を示した(46360)。

⑤ 心血管作用(Cardiovascular Effects)

  • 動物研究において、ビオプディアル(Viopudial)が以下の作用を示した:

    • 徐脈(Bradycardia)
    • 低血圧(Hypotension)
    • 心筋収縮力の低下(Myocardial contractility reduction)
  • 試験管研究において、ビオプディアルが低血圧作用を示した(46359)。

⑥ 消化器作用(Gastrointestinal Effects)

  • 動物研究では、プロアントシアニジン(Proanthocyanidins)がストレス誘発性の胃・十二指腸粘膜損傷を予防した(46358)。

⑦ 血糖降下作用(Glycemic Effects)

  • 試験管研究において、樹皮・花・果実の抽出物がα-アミラーゼとα-グルコシダーゼの活性を阻害したが、その効果は糖尿病治療薬アカルボースよりも弱かった(106520,110884)。

結論(Summary)

食品に含まれる量であれば安全だが、薬用量の使用については研究が不足している。
抗酸化作用、抗菌作用、鎮痙作用などが示唆されている。
妊娠・授乳中の使用は避けるべき。

✅ 糖尿病や高血圧の管理に有用な可能性があるが、さらなる研究が必要。

References

See Monograph References


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