セントジョーンズワート(St. John's Wort)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Hypericum perforatum

科名

オトギリソウ科(Hypericaceae)またはオトギリソウ属(Clusiaceae)


概要

セントジョーンズワートはヨーロッパ原産の植物で、黄色い星形の花を咲かせます。

  • 由来: 6月24日の聖ヨハネの日(John the Baptistの祝日)の頃に花を咲かせることからこの名前がつけられました(11804)。

⚠️ 注意事項(WARNINGS)

  • 特定の薬との相互作用により深刻な副作用を引き起こす可能性があります。
  • フランスではセントジョーンズワート製品の使用が禁止されています。
  • 他の国々でも、薬との相互作用に関する警告を義務付けています(4892)。

安全性(Safety)

経口使用(Oral Use)

おそらく安全(LIKELY SAFE)

  • 900 mg/日までの摂取は、最大12週間の使用で安全とされています(3547, 3550, 4835, 5096, 6400, 6434, 7047, 13021, 13156, 13157, 14417, 76143, 76144, 89666, 89669, 95510)。
  • 一部の研究では、1年以上の長期使用でも安全性が確認されています(13156, 13157, 76140)。
  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や三環系抗うつ薬(TCA)より副作用が少ない可能性があります(4897, 76153, 76143, 104036)。

外用使用(Topical Use)

おそらく安全(POSSIBLY SAFE)

  • セントジョーンズワート0.5%エキスは、週1回、4週間の使用で安全とされています(110327)。
  • セントジョーンズワートオイルは、1日2回、6週間の使用で安全とされています(110326)。
    日光に当たると光線過敏症(Photodermatitis)を引き起こす可能性がある(110318)。

高用量摂取(High Doses)

おそらく危険(POSSIBLY UNSAFE)

  • 2〜4g/日(ハイペリシン5〜10mg含有)の摂取は、重篤な光毒性皮膚反応を引き起こす可能性があります(758, 4631, 7808)。

妊娠・授乳中の使用

妊娠中の経口使用(PREGNANCY: POSSIBLY UNSAFE)

  • ある研究では、神経管欠損、尿路・心血管系奇形のリスク増加が報告されています(106052)。
  • 特に妊娠初期の使用は危険とされ、動物実験では催奇形性の可能性が指摘されています(9687, 15122)。
  • 妊娠中は使用を避けるべき。

授乳中の経口使用(LACTATION: POSSIBLY UNSAFE)

  • 母親がセントジョーンズワートを摂取すると、授乳中の乳児に疝痛(Colic)、眠気、無気力が生じる可能性があります(1377, 15122, 22418)。
  • 授乳中は使用を避けるべき。

子供の使用

おそらく安全(POSSIBLY SAFE)

  • **6〜17歳の子供に1回300mg、1日3回の使用(最大8週間)**で安全性が確認されています(4538, 17986, 76110)。

副作用(Adverse Effects)

一般的に良好に耐容される(General: Well tolerated)

主な副作用(Most Common Adverse Effects)

  • 経口摂取:
    • 下痢、めまい、口の渇き、軽度の胃腸不調、倦怠感、頭痛、不眠、落ち着きのなさ、鎮静作用
  • 外用使用:
    • 皮膚発疹、光線過敏症

まれな重篤な副作用(Serious Adverse Effects: Rare)

  • 経口摂取:
    • 自殺念慮、精神病(ごくまれ)

有効性(Effectiveness)

✅ 有効性が高い(LIKELY EFFECTIVE)

  • うつ病(Depression):
    • 軽度〜中等度の大うつ病(MDD)に有効
    • 一部の抗うつ薬よりも副作用が少ない可能性(4897, 76153, 76143, 104036)。

✅ おそらく有効(POSSIBLY EFFECTIVE)

  • 更年期症状(Menopausal symptoms)
  • 身体症状症(Somatic symptom disorder)

❌ おそらく無効(POSSIBLY INEFFECTIVE)

  • 口腔灼熱症候群(Burning mouth syndrome)
  • C型肝炎(Hepatitis C)
  • HIV/AIDS
  • 過敏性腸症候群(IBS)
  • 末梢神経障害(Peripheral neuropathy)
  • 社交不安障害(Social anxiety disorder)

用法・用量(Dosing & Administration)

成人(Adult)

  • 経口: 600〜900 mg/日(2〜3回に分けて摂取)、最大12週間使用可能(76143, 76174, 95510, 104036)。
  • 外用: 軟膏、クリーム、ジェルの形で使用可能(詳細は適応症ごとに異なる)。

相互作用(Interactions)

⚠️ 重大な相互作用(MAJOR: Do not take this combination)

  • 抗うつ薬(SSRI, TCA)セロトニン症候群のリスク増加
  • 免疫抑制薬(シクロスポリン、タクロリムス)効果低下
  • 抗HIV薬(インジナビル、プロテアーゼ阻害剤)効果低下
  • 経口避妊薬避妊効果の低下
  • 血液凝固薬(ワルファリン)効果低下、血栓リスク増加
  • 抗がん剤(イマチニブ、イリノテカン)効果低下

⚠️ 中等度の相互作用(MODERATE: Be cautious)

  • 鎮静薬(フェンタニル、トラマドール)
  • 糖尿病治療薬(グリクラジド)
  • 抗てんかん薬(フェノバルビタール、フェニトイン)

まとめ

メリット:
軽度〜中等度のうつ病に有効
更年期症状や身体症状症に有望

デメリット:
多くの薬と相互作用があり注意が必要
妊娠・授乳中の使用は避ける
高用量摂取で光毒性のリスクあり

References

See Monograph References


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