トマト (Tomato)

投稿者 :リンクプロ on

■ 学名
Solanum lycopersicum(旧名:Lycopersicon esculentum)

■ 科名
ナス科(Solanaceae)

■ 注意
トマトとリコピン(Lycopene)は混同しないように注意してください。リコピンはトマトに含まれるカロテノイド成分の一種です。

■ 概要
トマトはつる性の植物に実る果実で、一般的に食品として消費されています。また、リコピンなどの栄養素を含んでおり、これが医療分野でも注目されています。

■ 安全性
◎ おそらく安全
 ・完熟および未熟のトマト果実や加工品を食品として通常量摂取する場合。
 ・トマト葉も通常の食品量で摂取する場合。

○ おそらく安全
 ・トマト抽出物を医療目的で短期間(8週間以内)経口摂取する場合。特定の製品(Lyc-O-Mato、LycoRed Ltd)が臨床試験で使用され、安全性が確認されています。

△ おそらく危険
 ・トマト葉や未熟な青いトマトを大量に摂取すると危険です。
  これらには「トマチン(tomatine)」というグリコアルカロイドが含まれ、過剰摂取で毒性が現れることがあります。

× 妊娠・授乳中
 ・通常の食品量であれば安全と考えられますが、トマト抽出物については安全性情報が不十分なため避けるべきです。

■ 副作用
◎ 一般的には良好に耐えられる
 ・食品量でのトマト果実・葉およびトマト抽出物においては、特に問題なく摂取されています。

× 過剰摂取による重篤な副作用(稀)
 ・トマチンの過剰摂取による徐脈、下痢、呼吸困難、けいれん、嘔吐、最悪の場合死亡。

■ 効果(科学的根拠に基づく評価)
▲ おそらく無効
 ・膀胱がん
 ・乳がん
 ・糖尿病(予防・血糖改善)

△ 信頼できる証拠が不十分
 ・肌の老化改善
 ・前立腺肥大症(BPH)
 ・心血管疾患(CVD)
 ・白内障
 ・子宮頸がん
 ・大腸がん
 ・運動誘発喘息
 ・胃がん
 ・高脂血症(LDLコレステロール低下にわずかな効果がある可能性)
 ・高血圧(血圧低下にわずかな効果がある可能性)
 ・肺がん
 ・筋力改善
 ・卵巣がん
 ・膵臓がん
 ・前立腺がん(リスク低下の可能性があるが、研究結果は一貫していない)
 ・放射線皮膚炎

■ 用法・用量(成人・経口)
・トマト抽出物はリコピン含有量に基づいて1日15〜30mgを最大8週間使用。

■ 標準化・製剤例
・Fruitflow(Provexis Plc):150mgでヌクレオシド誘導体9mg、フェノール性化合物10mg、フラボノイド誘導体7mg含有。

■ 相互作用
◎ 薬との相互作用:特になし
◎ サプリメントとの相互作用
 ・βカロテン:リコピン吸収を阻害する可能性
 ・カルシウム:リコピン吸収を減少させる可能性
 ・ルテイン:リコピン吸収を阻害する可能性

■ 過剰摂取
◎ 症状:
 ・トマト葉や未熟果実の大量摂取で、粘膜刺激、嘔吐、下痢、腹痛、めまい、昏睡、頭痛、徐脈、呼吸障害、けいれん、最悪の場合、呼吸不全による死亡。

◎ 治療法:情報不足

■ 薬物動態(体内での動き)
・リコピンは加工品(トマトペースト)の方が生トマトより吸収されやすい。
・トマトジュース摂取でも血中リコピン濃度は上昇。

■ 作用機序
◎ 有効部位:果実、葉、つる
◎ 主要成分:リコピン、βカロテン、フィトエン、フィトフルエン
◎ トマチン(葉・未熟果実):昆虫や微生物から植物を守るための毒性成分

◎ 主な作用
抗がん作用:リコピンが前立腺がんリスク低下に関与する可能性
抗炎症作用:TNF-α低下の可能性(エビデンスは低い)
抗酸化作用:トマト粉末はリコピン単体よりも抗酸化力が強い
心血管保護作用:コレステロール低下や血圧低下の可能性
中枢神経系作用:γアミノ酪酸(GABA)の供給源になる可能性
コリン作動性作用:トマチンによるアセチルコリンエステラーゼ阻害→過剰摂取で神経毒性
血糖改善作用:トマトジュース摂取で食後血糖抑制の可能性
免疫調整作用:明確な免疫活性化効果は確認されていない
光保護作用:リコピンによる紫外線ダメージ抑制
皮膚改善効果:フィトエン、フィトフルエンによる若干の肌改善作用

■ 分類
・サリチル酸含有食品

まとめると、トマトは食品としては非常に安全で栄養価が高い一方で、葉や未熟果実の過剰摂取には注意が必要です。健康効果については、特定の疾患(前立腺がん、高脂血症、高血圧など)で可能性が示唆されていますが、科学的根拠はまだ限定的です。


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