学名: Tropaeolum majus
科名: Tropaeolaceae
概要
ナスタチウムは南アメリカ原産の食用つる性草本植物で、伝統医学において使用されています。その抗炎症、抗菌、抗腫瘍効果が注目されています。
使用目的
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経口: 尿路感染症 (UTIs)、呼吸器感染症、心血管疾患、喘息、便秘、気管支炎。
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外用: 他のハーブと組み合わせて筋肉痛の緩和に使用されます。
安全性
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POSSIBLY SAFE (おそらく安全):
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経口: ホースラディッシュとの組み合わせで、最大1200 mg/日を3か月間使用しても安全であると報告されています。
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外用: 適切に使用する場合、安全性が示唆されています。
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CHILDREN (子供): LIKELY UNSAFE (危険の可能性が高い)
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妊娠・授乳: 信頼できる情報が不足しているため、単独でも他のハーブとの併用でも使用を避けるべきです。
副作用
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経口: ベンジルマスタードオイル成分により、消化管の刺激や腎臓へのダメージが引き起こされる可能性があります。
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外用: 皮膚や粘膜の刺激を引き起こす可能性があります。ベンジルマスタードオイルは接触性アレルゲンとされており、接触性皮膚炎の報告があります。
効果
INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE TO RATE (証拠不十分)
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呼吸器感染症: ナスタチウムとホースラディッシュを含む製品(Angocin Anti-Infekt N)を使用した場合、新しい感染症の発症率をわずかに低下させる可能性があります。ただし、この効果がナスタチウム、ホースラディッシュ、またはその組み合わせによるものかは不明です。
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尿路感染症 (UTIs): 同製品を用いた小規模な臨床研究では、治療後3か月後の再発率を低下させる可能性が示唆されていますが、治療期間中には効果が観察されませんでした。また、研究の規模が小さく、結果の妥当性は限定的です。
投与量と使用方法
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成人 (経口):
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呼吸器感染症: Angocin Anti-Infekt N(ホースラディッシュ80 mg、ナスタチウム200 mgを含むタブレット)を1日4〜6錠、最大12週間使用。
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尿路感染症: 同タブレットを1日4錠、最大90日間使用。
薬理作用
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抗炎症効果: ナスタチウムの水性抽出物は、腫瘍壊死因子 (TNF)-αの放出やCOX-2タンパク質の発現を抑制することが示唆されています。
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抗菌効果: ベンジルマスタードオイルが、細菌、ウイルス、真菌に対して静菌作用を持つ可能性があります。これらの化合物は主に呼吸器および尿路に蓄積し、排泄されます。
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抗腫瘍効果: ベンジルマスタードオイルは、抗腫瘍作用を持つ可能性があります。
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腎臓への効果: 初期の動物研究では、ナスタチウムの水性抽出物が利尿作用を示し、尿中ナトリウム排泄を増加させることが示されています。
注意事項
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相互作用: 現在のところ、薬剤やサプリメントとの有害な相互作用は報告されていません。
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胃腸潰瘍や腎疾患: これらの状態を持つ患者には慎重に使用する必要があります。
ナスタチウムは、感染症や炎症性疾患の自然療法として興味深い可能性がありますが、より多くの臨床データが必要です。