ナズナ(Shepherd's Purse)

投稿者 :リンクプロ on

学名(Scientific Name)

  • Capsella bursa-pastoris(別名:Thlaspi bursa-pastoris

科(Family)

  • アブラナ科(Brassicaceae/Cruciferae)

概要(Overview)

  • ナズナは、世界中で見られる一般的な雑草で、中東が原産と考えられている。
  • 花や葉は伝統的な薬として使用されてきた。

主な用途(People Use This For)

経口摂取(Oral use)

  • 頭痛(Headache)
  • 膀胱炎(Cystitis)
  • 月経前症候群(PMS)
  • 過多月経(Menorrhagia)
  • 不正出血(Metrorrhagia)
  • 鼻血(Nosebleeds)
  • 産後の合併症(Postpartum complications)
  • 出血(Hemorrhage)
  • 利尿剤(Diuretic)
  • 解熱剤(Antipyretic)

外用(Topical use)

  • 鼻血(Nosebleeds)
  • 軽度のやけど(Superficial burns)
  • 創傷治癒(Wound healing)
  • あざ(Bruising)
  • 静脈瘤(Varicose veins)

安全性(Safety)

おそらく安全(POSSIBLY SAFE)

  • 地上部を適切に使用する場合、経口摂取・外用の両方で比較的安全とされる。
  • 臨床試験では、1日1280mgを最大7日間摂取しても安全性が確認されている。

おそらく危険(POSSIBLY UNSAFE)

  • 大量摂取すると、心拍数の異常(動悸など)が引き起こされる可能性がある。

妊娠中の使用(PREGNANCY: LIKELY UNSAFE)

  • 経口・外用ともに使用を避けるべき。
  • 子宮の収縮を促す可能性があり、流産を引き起こす危険がある。

授乳中の使用(LACTATION)

  • 安全性に関する十分な情報がないため、過剰摂取は避けるべき。

副作用(Adverse Effects)

一般的には小量・短期間の使用で耐容性がある(well tolerated)。

考えられる副作用

  • 鎮静作用(Sedation)
  • 高血圧(Hypertension)
  • 低血圧(Hypotension)
  • 甲状腺機能異常(Abnormal thyroid function)
  • 月経異常(Abnormal menstruation)
  • 動悸(Palpitations)

効果の有効性(Effectiveness)

📌 信頼できる十分な証拠がない(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE)

過多月経(Menorrhagia)

  • 臨床研究では、ナズナエキス640mgを1日2回、7日間摂取すると、メフェナム酸(1000mg/日)単独使用と比較して3か月目の月経量が50%減少(メフェナム酸単独では45%減少)。
  • この小さな改善の臨床的な意義は不明。

産後の合併症(Postpartum complications)

  • 臨床試験では、ナズナエキス(舌下投与10滴)とオキシトシンの併用で、オキシトシン単独と比較して産後3時間の出血が32%減少。

🚨 これらの用途に関する臨床的な有効性は確認されておらず、さらなる研究が必要。


用法・用量(Dosing & Administration)

🔹 成人(経口摂取)

  • 過多月経:ナズナエキス640mgを1日2回、月経期間中7日間摂取(2サイクル継続)
  • 産後の合併症:ナズナエキス(舌下投与10滴)を使用

薬物・サプリメントとの相互作用(Interactions)

薬物との相互作用(Interactions with Drugs)

  1. 中枢神経抑制剤(CNS Depressants)
    • ナズナには鎮静作用があるため、鎮静剤と併用すると相加的な効果が生じる可能性がある。
  2. 甲状腺ホルモン(Thyroid Hormone)
    • ナズナは甲状腺機能に影響を与える可能性があり、甲状腺治療と併用する場合は注意が必要。

疾患との相互作用(Interactions with Conditions)

  • 心血管疾患(Cardiovascular conditions)
  • 腎結石(Kidney stones, Nephrolithiasis)
  • 手術(Surgery)
  • 甲状腺疾患(Thyroid conditions)

🚨 手術前にはナズナの使用を中止すべき。


作用機序(Mechanism of Action)

主な成分

  • タンニン(Tannins)
  • フラボノイド(Flavonoids)
  • コリン(Choline)
  • β-カロテン(Beta-carotene)
  • シニグリン(Sinigrin)(加水分解されるとアリルイソチオシアネートに変化)

主な作用

  1. 抗がん作用(Anticancer effects)

    • 試験管内研究では、ナズナエキスが癌細胞の増殖を抑制し、アポトーシス(細胞死)を誘導する可能性が示唆されている。
    • 腫瘍動物モデルにおいても抗腫瘍効果が確認されている。
  2. 抗菌作用(Antimicrobial effects)

    • ナズナエキスは細菌や酵母に対して抗菌作用を示す。
  3. 心血管作用(Cardiovascular effects)

    • ナズナの成分には、心筋収縮力を増強・減弱させる作用(正・負の変力作用)や、心拍数を増加・減少させる作用(正・負の変時作用)がある。
  4. 子宮収縮作用(Smooth muscle effects)

    • ナズナは伝統的に月経・生理痛の緩和に使用されてきたが、これは子宮平滑筋を刺激し、収縮を促進する作用によるもの。

結論

ナズナは、伝統的に月経異常や止血に使用されており、一定の効果が期待されるが、科学的根拠は限られている。
妊娠中の使用は危険であり、子宮収縮による流産のリスクがあるため避けるべき。
心血管・甲状腺疾患のある人は注意が必要。
さらなる研究が必要な成分であり、医薬品レベルでの使用には慎重な判断が求められる。


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