バニラ(Vanilla)

投稿者 :リンクプロ on

  • 学名: Vanilla planifolia(別名 Vanilla fragrans, Myrobroma fragrans
  • 科: ラン科 (Orchidaceae)

概要(Overview)

バニラは**半着生植物(hemiepiphytic plant)**であり、樹皮に根を張り、そこから土壌へ伸びる特徴を持ちます(81929)。

**バニラの主成分「バニリン(Vanillin)」**が、バニラ特有の香りの主な要因となっています(81925)。
現在、合成バニリンがバニラの香りの代用品として広く使用されている(6)。


+ 歴史(History)

人々の使用目的

① 経口摂取

  • **催淫剤(アフロディジアック)**として使用
  • 胃腸ガス(鼓腸)の緩和
  • 解熱剤(発熱を抑える)
  • 刺激剤

② 乳児

  • バニラの香りが哺乳を促進し、痛みや不安を軽減する可能性がある。

③ 外用(皮膚への適用)

  • しわ改善のために使用される。

④ 食品・飲料

  • 風味付けとして使用
  • 甘味を強化することで砂糖の使用量を減らす目的でも使用
  • 虫歯の発生を抑制する可能性がある。

⑤ 工業用途

  • 製薬業界でシロップの風味付けに使用
  • 香水の香料としても利用される。

安全性(Safety)

経口摂取(LIKELY SAFE)

  • 食品に含まれる量のバニラは安全(GRAS: 米国で一般に安全と認められている)(4912)。
  • 薬用量での経口摂取の安全性については、信頼できる情報が不足している。

妊娠・授乳中(PREGNANCY AND LACTATION: LIKELY SAFE)

  • 食品に含まれる量のバニラは安全(4912)。
  • 食品に含まれる以上の量については、信頼できる情報がないため使用を避けるべき。

副作用(Adverse Effects)

一般的な副作用

  • 食品に含まれる量のバニラは通常良好に耐えられる(4912)。

皮膚アレルギー

  • 経口摂取・外用(皮膚に適用)ともに、アレルギー反応(接触皮膚炎など)が報告されている
  • バニラ加工に関わる作業員は「バニリズム(occupational vanillism)」と呼ばれる症状を経験することがある
    • 頭痛
    • 皮膚炎
    • 不眠症(100502)

効果(Effectiveness)

証拠が不十分なもの(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE TO RATE)

① しわの改善(Wrinkled skin)

  • 成人女性を対象とした予備的研究では、1%のバニラエキスと1.5%のバクチオールエキスを含む美容液を56日間(1日2回)顔と首に塗布すると、肌の引き締まりと頬のたるみが改善された(104752)。
  • ただし、比較対象群がないため、この効果がバニラエキスによるものか不明。

📌 結論: しわの改善効果についての証拠は不十分。さらなる研究が必要。


投与量 & 使用方法(Dosing & Administration)

成人(Topical: 外用)

しわの改善(Wrinkled Skin)

  • バニラエキス1% + バクチオールエキス1.5%を含む美容液を顔と首に1日2回、56日間塗布(104752)。

標準化 & 製剤化(Standardization & Formulation)

  • バニラの標準化に関する信頼できる情報は不足している。

相互作用(Interactions)

薬物との相互作用

  • 現在、知られている相互作用はない。

サプリメントとの相互作用

  • 現在、知られている相互作用はない。

疾患との相互作用

  • 現在、知られている相互作用はない。

臨床検査との相互作用

  • 現在、知られている相互作用はない。

過剰摂取(Overdose)

  • バニラの毒性に関する信頼できる情報は不足している。

薬理作用(Mechanism of Action)

一般的な特性

  • バニラの有効成分は果実部分に含まれる。
  • 主成分「バニリン(Vanillin)」がバニラの香りと風味を生み出す(81925)。
  • バニラには150種類以上の芳香化合物が含まれる
    • フェノール系化合物(vanillic acid、p-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシベンズアルデヒド)(81913,81946,81948)
    • カテキン(抗酸化作用を持つ)(6)
  • これらの化合物の多くは熟成過程で形成され、生のバニラビーンズには含まれない(81941)。

アレルギー作用

  • バニラによる接触皮膚炎は、植物内のシュウ酸カルシウム結晶が原因と考えられる(6)。

食欲への影響

  • バニラの香りを加えた食事は、同じ食事でも満足感を高めることが示唆されている(6)。

歯の健康

  • バニラのカテキン成分が抗虫歯効果を持つ可能性がある(6)。

皮膚への作用

  • 試験管研究では、バニラエキスが紫外線による皮膚線維芽細胞の酸化ダメージを軽減することが示唆されている(104752)。
  • 皮膚の炎症を軽減する可能性がある(104752)。

結論(Summary)

バニラは食品に含まれる量であれば安全だが、薬用量の安全性については不明。
主成分は「バニリン」であり、150種類以上の芳香化合物を含む。
しわ改善や皮膚の抗酸化作用がある可能性が示唆されているが、さらなる研究が必要。
カテキン成分による虫歯予防効果が期待される。
食事の満足度を向上させる可能性がある。
バニラ加工に携わる作業員では「バニリズム」と呼ばれる職業病が報告されている。

 

References

See Monograph References


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