ホワイトマルベリー(White Mulberry)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Morus alba(別名:Morus indica, Morus multicaulis

科名

クワ科 (Moraceae)

注意事項

ホワイトマルベリー(白桑)はブラックマルベリー(黒桑)と混同しないよう注意。


概要

ホワイトマルベリーは小型~中型の低木または樹木で、果実はブラックベリーに似ているが、白色またはピンクがかった紫色をしており、味はあまり良くない。中国原産だが、植民地時代にアメリカに導入された。その木材は耐久性、柔軟性、弾力性に優れ、茎の繊維は製紙に利用されてきた(16493)。


安全性

経口摂取において適切に使用する場合、おそらく安全
ホワイトマルベリーの葉の粉末や葉の抽出物は、1回4.6gを1日3回、最大12週間使用した場合、安全性が確認されている(16494,17051,100627,103870,105796,110480)。

ホワイトマルベリーの果実の安全性については、信頼できる情報が不足している。

妊娠・授乳中の使用

信頼できる十分な情報がないため、使用を避ける。


副作用

一般的な副作用
経口摂取では、ホワイトマルベリーの葉は一般的に良好に耐えられるとされる。

最も一般的な副作用

  • 経口摂取:一時的な膨満感、便秘、鼓腸(ガスの発生)、軟便。


効果

評価するのに十分な信頼できる証拠がない(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE to RATE)

  • 男性型脱毛症(AGA):経口摂取による効果が期待されているが、臨床的な有効性を示す十分な証拠がない。

  • 風邪(咳や喉の痛みの緩和):使用が期待されているが、臨床的な有効性を示す十分な証拠がない。

  • 糖尿病:研究結果はまちまちだが、小規模な臨床試験では、ホワイトマルベリーの経口摂取は空腹時血糖値やHbA1c(糖化ヘモグロビン)を低下させないと示唆されている。ただし、インスリン抵抗性を改善し、食後血糖値を下げる可能性はある

  • 高脂血症(脂質異常症):経口摂取が有益かどうかは不明。研究結果は混在している。

  • 高血圧:使用が期待されているが、臨床的な有効性を示す十分な証拠がない。

  • 糖耐能異常(前糖尿病):経口摂取の有益性は不明。

  • 関節痛(変形性関節症や関節リウマチ):経口摂取による効果が期待されているが、臨床的な有効性を示す十分な情報がない。

  • 肥満:体重減少に対する有益性は不明。

さらなる研究が必要である。


用法・用量

成人の使用方法

  • 経口摂取:ホワイトマルベリーの葉の粉末または抽出物は、通常0.8~1gを1日3回、最大3ヶ月使用されている。


標準化と製剤

  • 臨床研究で使用された標準化製品には、1-デオキシノジリマイシン(DNJ)1.5%を含む特定のホワイトマルベリー葉粉末(17051)や、DNJ 4.5~5.5%を含むホワイトマルベリー葉抽出物(Reducose, Phynova Group)(105796)がある。


薬物との相互作用

  • 抗糖尿病薬:理論上、ホワイトマルベリーの葉は抗糖尿病薬と併用すると低血糖のリスクを高める可能性がある(中程度の相互作用)。

  • 有機カチオントランスポーター2(OCT2)基質薬:ホワイトマルベリーの葉はこれらの薬物の排出を遅らせ、副作用を増加させる可能性がある(中程度の相互作用)。


サプリメントとの相互作用

  • 低血糖作用を持つハーブ・サプリメント:ホワイトマルベリーの葉には血糖値を下げる作用がある。


過剰摂取

ホワイトマルベリーの過剰摂取に関する信頼できる情報は不足している。


作用機序

主要な成分

ホワイトマルベリーの適用部位は、葉、茎、果実、根皮。

  • にはフラボン類、ステロイド、トリテルペン、アミノ酸、ビタミン、微量ミネラル、含窒素イミノ糖が含まれる(16497)。

  • 果実にはシアニジンやペラルゴニジン配糖体、フラボノール(ケルセチンやケンフェロール)が含まれる(100625)。

主な作用

  • 抗がん作用:白桑の乾燥抽出物が白血病細胞の増殖を抑制し、多剤耐性細胞の増殖を阻害する可能性がある(14619)。

  • 抗痛風作用:枝に含まれるモリンが尿酸値を低下させ、キサンチンオキシダーゼを阻害することで痛風の予防に役立つ可能性がある(14617)。

  • 抗糖尿病作用:葉粉末が糖尿病治療に伝統的に用いられ、食後血糖値を低下させる可能性がある(16496,17051)。

  • 抗炎症作用:マクロファージの炎症プロセスを抑制し、炎症性サイトカイン(IL-6, TNF-α)の分泌を減少させる(100625)。

  • 抗酸化作用:活性酸素を除去し、酸化ストレスを軽減する。

さらなる研究が必要である。

References

See Monograph References


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