ホワイトマスタード(White Mustard)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Sinapis alba(別名:Brassica alba

科名

アブラナ科 (Brassicaceae/Cruciferae)

注意事項

ブラックマスタード、クラウンズマスタードプラント、ヘッジマスタードとは別の植物であるため、混同しないよう注意。


概要

ホワイトマスタードは一年草で、ヨーロッパ、シベリア、東アジア、アメリカに帰化している。成熟した乾燥種子は医薬品として使用される(18,101056)。種子や葉は食品にも利用される。


歴史

利用用途

経口:声の調整、感染予防、嘔吐誘発、利尿剤、食欲増進剤として使用される。
外用:咳、風邪、肺うっ血、気管支炎、関節や軟部組織の炎症、関節痛、変形性関節症、腰痛、口腔や咽頭の炎症、皮膚の血流増加、刺激剤、麻痺症状の入浴療法に使用される。
食品:ホワイトマスタードは一般的なマスタード調味料の風味付けとして使用され、スパイスとしても利用される。ホワイトマスタードの葉は食材としても消費される。


安全性

経口摂取(食品としての使用)
通常の食品量での使用はおそらく安全とされ、アメリカでは「一般的に安全と認められる(GRAS)」ステータスを持つ(4912)。

医薬品としての経口または外用の安全性
信頼できる十分な情報がない。

妊娠中の使用
おそらく安全ではない。ホワイトマスタードには子宮収縮促進作用や月経促進作用があると考えられているため(19)。

授乳中の使用
信頼できる十分な情報がないため、使用を避ける。


副作用

一般的な副作用

  • 一部の人にはアレルギー反応がみられる(101058)。

  • 医薬品としての使用において、副作用は報告されていないが、安全性の詳細な評価は実施されていない。

  • ホワイトマスタードに含まれるイソチオシアネートは、地方病性甲状腺腫(エンデミックゴイト)と関連がある(6,11)。

外用使用の副作用

  • ホワイトマスタードオイルや粉末を長時間皮膚に塗布すると、水疱や皮膚潰瘍を引き起こすことがある(2,12,18,19)。

  • 一部の人はホワイトマスタードの外用使用にアレルギー反応を示す(101057)。


有効性

ホワイトマスタードの有効性に関する信頼できる十分な情報はない


用法・用量

成人の使用方法(外用)

  • 足湯:ホワイトマスタード粉末20〜30gを1リットルの水に混ぜる(18)。

  • マスタードバス:150gのホワイトマスタード粉末を布袋に入れ、浴槽に浸す(18)。

  • 局所使用:粉末種子50〜70g(約4スプーン)を温水に混ぜ、ペースト状にして塗布。成人は10〜15分、6歳以上の子供は5〜10分適用(2,18)。皮膚が敏感な人は適用時間を短縮(2)。治療期間は最大2週間を推奨(2,12,18,19)。


標準化と製剤

ホワイトマスタードの標準化に関する信頼できる十分な情報はない。


薬物との相互作用

特に知られているものはない。


サプリメントとの相互作用

特に知られているものはない。


疾患との相互作用

  • 交差アレルギー:アブラナ科植物にアレルギーのある人は注意が必要。


臨床検査との相互作用

特に知られているものはない。


過剰摂取

ホワイトマスタードの毒性に関する信頼できる十分な情報はない。


作用機序

一般的な情報

使用部位は成熟した乾燥種子である。種子にはマスタードオイル配糖体が含まれており、ホワイトマスタードにはグルコシノレート・シナルビンが含まれる。この成分が加水分解されると、p-ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、p-ヒドロキシベンジルアミンが生成される。他の成分としては、タンパク質、脂肪油、シナピンが含まれる(11,18,101056)。

主な作用

  • 抗がん作用:ホワイトマスタード抽出物、シナルビン、およびアリルイソチオシアネートは、がん細胞の成長を抑制し、アポトーシス(細胞死)を引き起こす可能性がある(101056)。

  • 抗菌作用:ホワイトマスタード抽出物は抗菌作用を持つ(101056)。アリルイソチオシアネートには抗菌特性がある(18)。


まとめ

  • ホワイトマスタードは、食品および伝統医療で使用される一年草。

  • 食品としての使用は安全だが、医薬品としての使用には十分な情報がない。

  • 外用では皮膚への刺激が強く、長時間の使用は避けるべき。

  • 妊娠中の使用は避けるべき。

  • 抗がん作用、抗菌作用が期待されるが、さらなる研究が必要。

References

See Monograph References


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