学名
Justicia adhatoda(シノニム: Adhatoda vasica, Adhatoda zeylenica)
科名
キツネノマゴ科 (Acanthaceae)
概要
マラバーナットは東南アジア(特にインド)に自生する低木です。その葉はアーユルヴェーダやユナニ医学で使用されてきました。
用途
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経口使用:
上気道感染症、風邪、咳、痰、喘息、気管支炎、結核の治療に使用されます。また、去痰薬、分泌促進剤、気管支拡張剤、軽度の鎮痙剤としても利用されています。
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外用使用:
歯のケアに使用され、歯垢の形成を抑制するとされています。
安全性
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信頼できる情報が不足: マラバーナットの安全性に関する十分なデータはありません。
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妊娠中:
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授乳中: 信頼できる情報が不十分なため、使用を避けるべきです。
副作用
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一般: 副作用の報告はありませんが、十分な安全性評価が行われていません。
効果
十分な信頼性のある証拠がない:
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歯垢: マラバーナットを含むアーユルヴェーダ歯磨き粉を使用すると、歯垢を減らす可能性があるとされていますが、研究の質が低く、追加研究が必要です。
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上気道感染症: マラバーナットを含む製品を服用しても、咳の頻度や重症度を改善しないとの研究結果があります。他の研究でも同様の結果が得られています。
投与量と管理
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成人(経口使用): 典型的な投与量に関する情報はありません。
薬理作用
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主な成分: 葉が有効部位とされ、含有成分にはピロロキノリンアルカロイド(バシシン、バシシノン、バシコールなど)やその他のアルカロイド(アダトディニン、バシシノール、バシシノロン)が含まれます。
抗菌作用:
葉に含まれるバシシンは一部の細菌に対して抗菌作用を持ち、結核菌 (Mycobacterium tuberculosis) に対する効果も確認されています。
抗酸化作用:
マラバーナット葉抽出物は、フリーラジカルを除去する抗酸化作用を示します。
脂質改善効果:
高脂血症モデルのラット研究で、葉抽出物がトリグリセリドとLDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増加させることが示されました。
呼吸器作用:
去痰作用や気管支拡張作用が確認されており、咳や痰の症状を緩和するとされています。また、葉から抽出された多糖類は鎮咳作用を持つとされています。
子宮作用:
バシシンは子宮刺激作用を持つと考えられており、妊娠中の使用は禁忌です。
相互作用
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薬物、サプリメント、疾患、検査: 知られている相互作用はありません。
過剰摂取と治療
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過剰摂取: トキシコロジーに関する信頼できる情報は不足しています。
マラバーナットは伝統医学で多用途に使用されてきましたが、その効果と安全性についての科学的エビデンスは限定的です。特に妊娠中や授乳中の使用には注意が必要です。