ヤロウ(ノコギリソウ)(Yarrow)
投稿者 :リンクプロ on
名:
Achillea millefolium(シノニム: Achillea borealis, Achillea lanulosa)
科名:
キク科(Asteraceae/Compositae)
注意: ヤロウは「ブラッドワート」とも呼ばれるが、ブラッドルート(Bloodroot)と混同してはならない。
別名
別名多数あり(記載なし)
概要
ヤロウ(ノコギリソウ)は世界中の様々な地域(北米、北アフリカ、ヨーロッパ、アジアなど)に分布する草本植物である。伝統的に胃腸障害のために使用されてきた。また、関節炎、出血、発熱、頭痛、痔、肝機能の健康維持、呼吸器疾患、皮膚疾患、歯痛、静脈血栓塞栓症(VTE)のほか、発汗促進や月経促進の目的でも使われてきた。
安全性
おそらく安全
食品に通常含まれる量を経口摂取する場合は安全と考えられる。ツヨン(神経系に影響を及ぼす有毒物質)を含まないヤロウ製品は米国でGRAS(一般に安全と認められる)とされているが、ツヨンを含む製品は危険である可能性がある。
安全と思われる可能性あり
医療用量を適切に経口摂取する場合、安全と思われる。ヤロウ全草エキスを250~500mg毎日、最長12ヶ月間の使用で安全性が確認されている。また、ヤロウ抽出物2%含有クリームを膣内に毎日1回、7日間使用した場合も安全と思われる。
外用での安全性に関する信頼できる情報は不十分である。
妊娠中:おそらく危険
経口摂取は流産誘発や月経周期への影響があるとされるため危険。
授乳中: 信頼できる十分な情報がないため、使用を避けること。
副作用
一般に、経口または膣内使用でよく忍容される。
主な副作用:
外用:皮膚炎(接触性皮膚炎)を起こす場合がある。
有効性
十分な信頼できる情報がないため、有効性の評価は不十分。
- アトピー性皮膚炎(湿疹):外用での効果は不明。
- 月経困難症(生理痛):経口のヤロウ茶の効果は不明。
- 歯肉炎:マウスウォッシュ製品では他の成分との組み合わせしか研究されておらず、単独の効果は不明。
- 過敏性腸症候群(IBS):経口での単独の効果は不明。
- 多発性硬化症(MS):経口の効果は不明。
- 乳首の亀裂:外用での効果は不明。
- 口内炎(口腔粘膜炎):うがい薬としての効果は不明。
- 扁桃炎:経口での単独の効果は不明。
- 膣カンジダ症:膣内での効果は不明。
- 創傷治癒:外用での効果は不明。
これらの用途についてはさらなる研究が必要である。
用量と使用法
成人:
経口:
植物エキスまたはお茶として用いられる。具体的用量は用途による(有効性の項参照)。
外用:
軟膏やうがい薬として使用される(有効性の項参照)。
膣内使用:
クリームとして使用される(有効性の項参照)。
子ども:
研究が限られており、標準的な用量は不明。
標準化および製剤
信頼できる標準化に関する情報は不十分である。
薬との相互作用
- リチウム: 理論上、ヤロウはリチウムの血中濃度を増加させ、副作用を引き起こす可能性がある(注意)。
サプリメントとの相互作用
- ツヨンを含むハーブ: ツヨン毒性のリスクが高まる可能性あり。
病状との相互作用
- 交差アレルギー反応の可能性あり。
検査値との相互作用
報告されていない。
過量摂取
症状: 大量摂取で鎮静作用や利尿作用が出る可能性があるが、臨床報告はない。
治療: 信頼できる情報がない。
薬理学(作用機序)
ヤロウの使用部位は地上部。主な成分はセスキテルペンラクトン、フラボノイド(アピゲニン、ルテオリン等)、揮発油(カマズレン、ツヨン微量含有)など。
- 抗炎症作用:カマズレンなどによると推測される。
- 抗菌作用:黄色ブドウ球菌や大腸菌などに対する活性を示す。
- 抗痙攣作用:アピゲニン等がカルシウムチャネル遮断作用を示す。
- 利尿作用:動物実験で確認されている。
- エストロゲン作用:アピゲニンとルテオリンによる軽度のエストロゲン作用を示す。
- 消化器作用:胃粘膜の保護作用を示す。
- 血糖低下作用:動物実験で血糖値の低下作用が認められている。
- 肝臓保護作用:ASTおよびALTを低下させる。
- 脂質低下作用:総コレステロール、LDL低下、HDL増加。
- 神経系作用:湿布の局所適用で神経系刺激効果の可能性がある。
分類
抗血小板薬、利尿薬、鎮静・催眠薬
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