酒石酸(Tartaric Acid)

投稿者 :リンクプロ on

学名

ジヒドロキシコハク酸(Dihydroxysuccinic Acid)

⚠ 注意事項

  • 酒石酸は、以下のα-ヒドロキシ酸(AHA)とは異なるため、混同しないようにしてください。
    • クエン酸(Citric Acid)
    • グリコール酸(Glycolic Acid)
    • 乳酸(Lactic Acid)
    • リンゴ酸(Malic Acid)

概要

  • 酒石酸はα-ヒドロキシ酸(AHA)の一種であり、食品に含まれる天然酸の一つです(6064, 10104, 95601)。
  • 主にブドウ、レーズン、ワインに多く含まれ、タマリンドにも存在します(108163, 108164, 108167)。
  • 酒石酸のカリウム塩(酒石酸水素カリウム、別名クリームオブタータ―)は、米国食品医薬品局(FDA)が認可した処方薬に含まれることがありますが、本トピックの対象外です。

安全性

「おそらく安全」(LIKELY SAFE)

  • 食品に含まれる通常の量で経口摂取する場合、安全と考えられる。
  • 妊娠・授乳中の経口摂取も食品の通常量であれば安全(108163, 108164)。

「信頼できる十分な情報がない」(INSUFFICIENT RELIABLE INFORMATION)

  • 酒石酸をサプリメントとして高用量で摂取した場合の安全性は不明。
  • 外用(皮膚塗布)や吸入時の安全性に関するデータが不足している。

副作用

  • 経口摂取・外用・吸入いずれの場合も、報告された副作用は特にない。
  • ただし、安全性に関する包括的な評価は行われていない。

有効性

「信頼できる十分な証拠がない」(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE TO RATE)

  • 喘息(Asthma)

    • 酒石酸の吸入が喘息に有益かどうかは不明(108165, 108166)。
  • 嚥下障害による誤嚥予防(Swallowing dysfunction)

    • 酒石酸の吸入が無音性誤嚥を予防できるかどうかは不明(108165, 108166)。

用量・投与方法

  • 成人の一般的な投与量については研究が限られており、不明。

標準化と製剤化

  • 酒石酸の標準化に関する十分な情報は不明。

相互作用

薬との相互作用

  • 特に知られている相互作用はなし。

サプリメントとの相互作用

  • 特に知られている相互作用はなし。

疾患との相互作用

  • 特に知られている相互作用はなし。

検査値との相互作用

  • 特に知られている相互作用はなし。

過剰摂取

  • 酒石酸の過剰摂取や中毒に関する十分なデータは不明。

薬物動態(ファーマコキネティクス)

吸収(Absorption)

  • ワインやブドウジュースを摂取すると、酒石酸は腸から吸収される(108163, 108164)。

排泄(Excretion)

  • 酒石酸は尿中に排泄される。ワインの摂取量が増えると、尿中の酒石酸濃度も上昇する(108163, 108164)。

作用機序(メカニズム)

主な特徴

  • 酒石酸はα-ヒドロキシ酸(AHA)の一種であり、食品中に天然に存在する(6064, 10104)。
  • ワインには1.5〜4 g/Lの酒石酸が含まれ、ブドウの全体重量の最大1%を占める(108163, 108164, 108167)。
  • タマリンドやバナナにも少量含まれる(108164)。

薬理作用

コレステロール低下作用(Cholesterol effects)

  • 尿中の酒石酸濃度(酒石酸摂取のマーカー)は、総コレステロールおよびLDLコレステロール値と逆相関する(108163)。

消化管作用(Gastrointestinal effects)

  • 大腸内の細菌によって代謝され、短鎖脂肪酸の生成に利用される可能性がある。
  • 酒石酸(クリームオブタータ―として摂取)が腸の通過時間を短縮するが、短鎖脂肪酸の生成や糞便中の胆汁酸濃度には影響を与えない(108167)。

呼吸器作用(Respiratory effects)

  • 吸入すると咳反射を誘発する(108165, 108166)。
  • 嚥下障害のある患者の誤嚥防止や喘息治療への応用が検討されているが、エビデンスは不十分。

結論

  • 酒石酸は食品に含まれる通常量で摂取する場合、安全と考えられる。
  • 高用量のサプリメントとしての安全性や外用・吸入の影響については十分なデータがない。
  • コレステロール低下や腸内環境の改善に関する可能性が示唆されているが、さらなる研究が必要。
  • 喘息や嚥下障害への効果については、エビデンスが不足しているため確定的な判断はできない。

References

See Monograph References


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