学名
Prunus cerasus(別名 Cerasus vulgaris, Prunus vulgaris)
科名
バラ科(Rosaceae)
⚠ 注意事項
タートチェリー(Tart Cherry)は以下のチェリーとは異なりますので、混同しないように注意してください。
- スイートチェリー(Sweet Cherry)
- ワイルドチェリー(Wild Cherry)
- ウィンターチェリー(Winter Cherry)
概要
タートチェリーとは、Prunus aviumの果実を指します。270種類以上の品種が存在しますが、商業的に重要なのはごく一部です(6)。
- **アメリカで最も一般的に栽培されている品種は「モンモランシーチェリー(Montmorency Cherry)」**です。
- 生産されたタートチェリーの約97%が料理や焼き菓子に使用される(93197)。
- 一部のタートチェリー製品は、特定の健康効果を目的として販売されている。
安全性
✅ 「おそらく安全」(LIKELY SAFE)
- 食品に含まれる通常の量で果実を摂取する場合、安全と考えられる。
- タートチェリー果実、果汁、果汁濃縮液を3か月間摂取した場合、安全性が確認されている(93149, 93151, 93152, 93153, 93154, 93156, 93157, 93158, 93160, 93161, 93168, 93179, 105633)。
⚠ 「おそらく安全」(POSSIBLY SAFE)
-
果実エキスや粉末の短期間の経口摂取は安全の可能性あり。
- フリーズドライチェリーパウダー500mg/日を最大7日間摂取した場合、安全性が確認されている(93157, 93158, 105631)。
⚠ 「信頼できる十分な情報がない」(INSUFFICIENT RELIABLE INFORMATION)
- タートチェリーの「茎」を経口摂取した際の安全性は不明。
妊娠・授乳中の使用
✅ 「おそらく安全」(LIKELY SAFE)
- 食品に含まれる通常の量で果実を摂取する場合、安全と考えられる。
- ただし、医薬品レベルの量の摂取については十分なデータがないため、避けるべき。
副作用
有効性
✅ 「おそらく有効」(POSSIBLY EFFECTIVE)
-
運動パフォーマンス(Athletic performance)
- タートチェリーの経口摂取により、筋力と持久力がわずかに向上する可能性がある(93157, 93158, 105631)。
- ただし、多くの研究は選択バイアスのリスクが高く、さらなる研究が必要。
⚠ 「信頼できる十分な証拠がない」(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE TO RATE)
- アロマターゼ阻害剤による関節痛(Aromatase inhibitor-induced arthralgia, AIIA)
- ADHD(注意欠陥・多動性障害)
- 認知機能(Cognitive function)
- 運動誘発性筋肉痛(Exercise-induced muscle soreness)
- 運動誘発性呼吸器感染症(Exercise-induced respiratory infections)
- 線維筋痛症(Fibromyalgia)
-
痛風(Gout)(研究結果が一致していない)
-
高血圧(Hypertension)(研究結果が一致していない)
-
不眠症(Insomnia)(小規模研究で睡眠改善効果が示唆されているが、結果が矛盾)
-
メタボリックシンドローム(Metabolic syndrome)(心血管および代謝バイオマーカーに影響なし)
- 変形性関節症(Osteoarthritis)
用量・投与方法
成人(経口摂取)
- タートチェリージュース:240-480 mL/日
- 果汁濃縮液:30-60 mL/日(水で希釈)
- 最大摂取期間:3か月
相互作用
薬との相互作用
サプリメントとの相互作用
疾患との相互作用
検査値との相互作用
作用機序(メカニズム)
使用部位
主な成分
- 炭水化物、タンパク質、ビタミンC、ビタミンA、α-リノレン酸、ビタミンE、β-カロテン、葉酸、チアミン、カリウム、リン、カルシウム、タンニン
- アントシアニン(Anthocyanins)
- クロロゲン酸、プロトカテク酸、バニリン酸
- カンペロール、ケルセチン、メラトニン、ヒドロキシシンナミン酸
✅ 抗炎症作用(Anti-inflammatory effects)
- アスピリンの10倍の抗炎症作用がある可能性(6)。
- シクロオキシゲナーゼ(COX)IIをナプロキセンやイブプロフェンと同程度阻害(93184)。
✅ 鎮痛作用(Analgesic effects)
- 動物実験では、インドメタシンと同等の鎮痛効果を示す(93188)。
✅ 抗酸化作用(Antioxidant effects)
- アントシアニンのバイオアベイラビリティが高い(93186)。
✅ 抗糖尿病作用(Antidiabetic effects)
- 動物研究では血糖値を低下させる可能性(93185)。
✅ 抗痛風作用(Anti-gout effects)
✅ 抗高血圧作用(Antihypertensive effects)
- メタ分析では血圧に対する効果が不明(109658)。
✅ 睡眠改善効果(Sleep effects)
- メラトニン含有量が高く、不眠症改善に寄与する可能性(17199)。
結論
- タートチェリーは食品レベルでの摂取は安全と考えられる。
- 抗炎症、抗酸化、鎮痛、抗痛風作用が期待されるが、さらなる研究が必要。
- 医薬品レベルの使用には十分なデータがないため、大量摂取は避けるべき。