タラゴン(Tarragon)
投稿者 :リンクプロ on
学名
Artemisia dracunculus(別名 Artemisia glauca)
科名
キク科(Asteraceae/Compositae)
⚠ 注意事項
タラゴン(Tarragon)とヨモギ(Mugwort, Artemisia vulgaris)は別の植物であるため、混同しないように注意してください。
概要
タラゴンは多年草のハーブで、その葉は伝統的に薬用として使用されています(12)。
用途
経口摂取(Orally)
タラゴンは以下の症状に使用されます:
- 消化不良(Digestive disorders)
- 歯痛(Toothache)
- 月経促進(Promoting menstruation)
- 利尿作用(Diuretic)
- 食欲増進(Appetite stimulant)
- 催眠作用(Hypnotic)
吸入(By Inhalation)
- 術後の吐き気や嘔吐(Postoperative nausea and vomiting, PONV)のアロマセラピーとして使用。
食品・工業用途
- 食品や飲料の香料・料理用ハーブ
- 石鹸や化粧品の香料成分
安全性
✅ 「おそらく安全」(LIKELY SAFE)
- タラゴンの葉や精油は、食品に含まれる通常の量で経口摂取する場合、安全と考えられる。
- 米国では「一般に安全と認められる(GRAS)」ステータスを取得(4912)。
⚠ 「信頼できる十分な情報がない」(INSUFFICIENT RELIABLE INFORMATION)
- 医薬品としての経口・外用使用、またはアロマセラピーとしての吸入使用の安全性については、十分なデータがない。
妊娠・授乳中の使用
⚠ 「おそらく危険」(LIKELY UNSAFE)
- 妊娠・授乳中の安全性に関する情報が不十分なため、使用を避けることが推奨される。
副作用
- 特に報告された副作用はないが、安全性の包括的な評価は行われていない。
-
タラゴンに含まれる「エストラゴール(Estragole)」の長期摂取は、がんのリスクを高める可能性が指摘されている。
- ただし、このリスクは動物実験でのみ示されており、人間への影響は不明(77046, 77029, 77042)。
有効性
⚠ 「信頼できる十分な証拠がない」(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE TO RATE)
-
術後の吐き気や嘔吐(PONV)
- ジンジャー、カルダモン、タラゴンの精油を1:1:1で混合し、首に塗布し吸入すると、術後の吐き気・嘔吐を30分間抑える効果が報告されている(77054)。
- ただし、この効果はタラゴン単体ではなく、他の成分との組み合わせによる可能性がある。
用量・投与方法
外用(Topical)
-
術後の吐き気・嘔吐(PONV):
- ジンジャー、カルダモン、タラゴンの精油を1:1:1の割合で混合し、1〜2滴を首に塗布(77054)。
相互作用
薬との相互作用
抗凝固剤・抗血小板薬(Anticoagulant/Antiplatelet Drugs)
⚠ 「中程度の相互作用」(Moderate)➡ 併用に注意。
- タラゴン抽出物は、血小板凝集を抑制する可能性があり、抗血小板薬や抗凝固薬(アスピリン、クロピドグレル、ヘパリン、ワルファリンなど)と併用すると出血リスクが高まる可能性がある(49445, 76932, 77038)。
中枢神経抑制薬(CNS Depressants)
⚠ 「中程度の相互作用」(Moderate)➡ 併用に注意。
- 動物実験では、タラゴン精油が鎮静作用を示し、運動機能を低下させる可能性がある(77024)。
- 抗ヒスタミン薬、バルビツール酸系薬、ベンゾジアゼピン系薬、三環系抗うつ薬との併用により、鎮静作用が強まる可能性がある。
モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOIs)
⚠ 「中程度の相互作用」(Moderate)➡ 併用に注意。
- タラゴン抽出物は、MAO-AおよびMAO-Bを阻害する可能性があり、MAO阻害薬(MAOIs)との併用で副作用が増す可能性がある(106774)。
作用機序(メカニズム)
使用部位
- 地上部(葉、茎、花)
主な成分
- エストラゴール(Estragole, 約81%)
- α-ピネン(Alpha-pinene)
- α-トランス-オシメン(Alpha-trans-ocimene)
- 揮発油(Volatile oils)
- アルキルアミド(Alkylamides)
- クマリン誘導体(Coumarin derivatives: ヘルニアリン, スキミン)(49405, 77017, 77021)
✅ 抗血小板作用(Anticoagulant effects)
- タラゴンのメタノール抽出物が血小板の凝集と接着を抑制(77038, 76932)。
✅ 抗糖尿病作用(Antidiabetic effects)
- マウス実験では、タラゴン抽出物の経口投与が血糖値を20〜24%低下させる(77031)。
- 糖尿病マウスでインスリン濃度を33%低下(77043)。
✅ 抗炎症作用(Anti-inflammatory effects)
- 試験管内研究で、一酸化窒素の過剰産生を抑制(30640)。
✅ 抗菌作用(Antimicrobial effects)
- H.ピロリ、大腸菌、黄色ブドウ球菌、シゲラ菌、リステリア菌などを抑制(77032, 77040)。
✅ 神経作用(Neurologic effects)
- 動物実験で抗けいれん作用と鎮静作用を示す(77024)。
結論
- タラゴンは食品レベルでの摂取は安全と考えられる。
- 抗凝固薬、鎮静薬、MAO阻害薬との相互作用に注意。
- エストラゴールの長期摂取による発がんリスクの可能性があるため、大量摂取は避けるべき。
References
See Monograph References
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