N-アセチルシステイン (N-Acetyl Cysteine; NAC)
投稿者 :リンクプロ on
学名: N-acetyl-L-cysteine
科名: 該当なし
概要
N-アセチルシステイン (NAC) は、アミノ酸L-システインの誘導体であり、体内でグルタチオンの前駆体として機能します。グルタチオンは強力な抗酸化物質であり、活性酸素種 (ROS) による細胞損傷を抑える役割があります。NACは医薬品として米国食品医薬品局 (FDA) に承認されており、アセトアミノフェン中毒などの治療に使用されます。
安全性
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ほぼ安全
- 経口: 適切に使用すれば一般に安全とされています。標準的な投与量は600-1200 mg/日です。
- 吸入: 医療用途では安全に使用されています。
- 注射 (静脈内投与): FDA 承認済みの治療法として使用されています。
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妊娠: 妊娠中に使用する場合、必要に応じて使用されるべきですが、胎児への有害な影響は確認されていません。
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授乳: 信頼できる十分な情報が不足しているため、使用は避けるべきです。
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注意: NACは過剰摂取や高用量投与 (9gを超える単回投与や30g/日の長期投与) により下痢、吐き気、低血圧などの副作用を引き起こす可能性があります。
効果
効果が確認されているもの
- アセトアミノフェン中毒: 経口および静脈内投与でのNACは、肝臓のグルタチオンレベルを回復し、肝毒性を予防します。
- 無気肺: 吸入NACは、肺内の粘液を溶解し無気肺を改善します。
- 気管切開ケア: 気管切開患者における気道の痂皮形成を防ぐ補助療法として有効です。
有望な可能性があるもの
- 慢性閉塞性肺疾患 (COPD): NACは、症状を改善し、急性増悪の発生を減少させる可能性があります。
- インフルエンザ: NACの経口投与が症状のリスクを減少させる可能性があります。
- 心筋梗塞 (MI): 静脈内投与により、患者の回復をサポートする可能性があります。
効果がない、または不十分なエビデンス
- 嚢胞性線維症: NACの吸入または経口投与は、肺機能を改善しないことが示されています。
- 大麻使用障害: NACは使用量を減少させる効果がない可能性があります。
- 肺がん: NACは肺がん患者の予後を改善しないことが示されています。
副作用
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一般的な副作用
- 経口: 下痢、吐き気、消化不良、口渇。
- 吸入: 気管支痙攣、喉の刺激感、咳。
- 静脈内投与: アナフィラキシー、皮疹、心拍数の変化。
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深刻な副作用 (まれ)
- アナフィラキシーショック、心不整脈、重度の低血圧。
投与量
成人
- 経口: 標準的な投与量は600-1200 mg/日で、1日2回に分けて服用することが一般的です。
- 吸入: 10%または20%のNAC溶液が利用され、通常2-4mL (10%溶液) または1-2mL (20%溶液) が使用されます。
- 静脈内投与: アセトアミノフェン中毒の場合、150 mg/kgを15分間で投与し、その後継続的に投与されます。
小児
- 標準的な用量は研究不足のため不明です。ただし、医療指導のもとで使用される場合があります。
薬物相互作用
- 活性炭: NACの吸収が妨げられる可能性があります。
- 抗凝固薬/抗血小板薬: NACが抗血小板作用を持つ可能性があるため、出血リスクが増加する可能性があります。
- ニトログリセリン: 一緒に使用すると重度の頭痛や低血圧を引き起こす可能性があるため、併用は避けるべきです。
作用機序
NACは、L-システインのアセチル誘導体であり、体内でグルタチオンの合成を促進します。これにより、酸化ストレスを軽減し、細胞の損傷を防ぎます。また、NACは粘液のジスルフィド結合を破壊することで、気道内の粘液を溶解します。さらに、抗炎症作用や抗酸化作用もあり、心血管疾患や肺疾患などにおいて保護効果を持つ可能性があります。
注意点
- FDA規制の下、NACは医薬品として認識されており、サプリメントとしての使用には制限があります。
- 用法用量を守り、特に高用量投与や長期間の使用は避けるべきです。
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- タグ: サプリメント