N-メチルチラミン (N-Methyltyramine)
投稿者 :リンクプロ on
学名: N-methyltyramine
科名: 該当なし
概要
N-メチルチラミン (NMT) は、フェネチルアミンの天然形態であり、アミノ酸チロシンから変換される化合物です。NMTは、ビターオレンジ、タンジェリンの乾燥果皮、アカシア・リジデュラ、麦、いくつかのサボテン、イチョウなどの植物に含まれます。また、微量ではありますがヒト血漿にも存在するトレースアミンとして知られています。
近年、米国食品医薬品局 (FDA) は、NMTを含むサプリメントの使用を避けるよう勧告しています。これは、NMTが一部のスポーツ補助食品やダイエットサプリメントに含まれているものの、安全性や有効性に関するデータが限られているためです。また、NMTは米国アンチ・ドーピング機関 (USADA) および世界アンチ・ドーピング機関 (WADA) の競技中使用禁止リストに含まれています。
使用目的
- 経口: 集中力向上、運動パフォーマンスの向上、減量目的で使用されています。
安全性
- 安全性に関するデータ不足: NMTの安全性に関する信頼できる情報は限られており、使用に際して注意が必要です。
- 妊娠・授乳: 十分なデータがないため、使用を避けるべきです。
副作用
- 一般的な副作用は報告されていませんが、体系的な安全性評価が行われていません。
効果
有効性に関するデータ不足
- NMTの減量効果や運動パフォーマンス向上に関する信頼できる臨床データはありません。
- 体重減少: 動物研究では、NMTが弱いα2-アドレナリン受容体拮抗作用を示し、脂肪分解を促進することはないとされています。また、消化酵素の分泌を刺激し、栄養の利用を促進する可能性が示唆されていますが、減量目的の使用には効果がないと考えられます。
相互作用
薬剤との相互作用
- 降圧薬: 動物研究でNMTが血圧を上昇させることが示唆されており、降圧薬の効果を減弱させる可能性があります。
- 刺激薬: NMTは理論上刺激作用を持つと考えられていますが、動物研究ではこれを支持する証拠は見つかっていません。刺激薬と併用すると高血圧や心血管系への悪影響のリスクが増加する可能性があります。
サプリメントとの相互作用
- 刺激作用を持つハーブおよびサプリメント: エフェドラ、ビターオレンジ、カフェインなどの成分を含む製品と併用すると、心血管系のリスクが増加する可能性があります。
薬理作用
- 一般的な作用: NMTはチロシンから脱炭酸およびN-メチル化によって生成される化学物質です。消化管においては、小腸の運動を抑制し、平滑筋を弛緩させる作用が報告されています。
- 減量効果の欠如: 動物研究では、NMTがリポリシス (脂肪分解) を促進せず、むしろ食欲を増進させる可能性が示唆されています。
投与量と使用方法
- 成人: 標準的な用量は確立されていません。
- 市販製品: 一部のスポーツサプリメントに含まれていますが、ラベルに記載されていないことがあります。
注意点
- NMTを含むサプリメントの使用は、安全性や効果が確立されていないため、避けるべきです。特にスポーツ選手においては、アンチ・ドーピング規則に違反する可能性があるため注意が必要です。
- 高血圧や心血管疾患の既往がある場合は、NMTを使用しないことをお勧めします。
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- タグ: サプリメント