ビテックス・アグヌス・カスタス(Vitex agnus-castus)
投稿者 :リンクプロ on
🌿 概要
ビテックス・アグヌス・カスタス(Vitex agnus-castus)は、地中海および中央アジアに自生する落葉低木です (90890)。
古代エジプト、ギリシャ、ローマで伝統的に使用されてきた歴史があります。
この植物は月経異常や更年期障害の治療に用いられ、性欲を抑える効果があるとされ、「貞潔の木(Chaste tree)」とも呼ばれています (90618,90619,90620,90890)。
⚠ 安全性
✅ おそらく安全
- 果実エキスを経口で短期間適切に使用した場合、安全であると考えられています。
- 研究では、最大40 mg/日を最長3か月間安全に使用できたと報告されています (7055,7076,7077,7078,7079,12207,13393,15065,90617,90618,96435)。
❌ 種子の経口・外用の安全性については十分な情報がない
🚨 妊娠・授乳中(おそらく危険)
- ホルモン作用があるため、妊娠・授乳に悪影響を及ぼす可能性がある (10979,11456,13393,109439)。
- 動物研究では、妊娠中や妊娠計画中の摂取により、不妊、胎児の低体重、流産、死産のリスクが上昇する可能性が示唆されています (109439)。
➡ 妊娠・授乳中の使用は避けるべき
❗ 副作用
一般的に、経口摂取では良好に耐えられるとされています。
⚠ よく報告される副作用
- 消化器系: 下痢、吐き気、嘔吐、胃痛
- 神経系: 頭痛、不眠、倦怠感
- ホルモン系: 月経不順
- 皮膚: 皮膚刺激
❓ 効果
🟢 可能性がある(POSSIBLY EFFECTIVE)
-
乳房痛(マスタルジア)
- 小規模研究のメタアナリシスにより、月経周期に関連した乳房痛を軽減する可能性があると示唆されています。
-
月経前症候群(PMS)
- 臨床研究で、PMS症状を軽減する穏やかな効果が示されています。
🔴 効果がない可能性がある(POSSIBLY INEFFECTIVE)
-
骨折の治癒
- 限られた証拠により、骨折の治癒速度を改善しない可能性がある。
⚪ 十分な証拠がない(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE)
- ニキビ(Acne)
- 老化肌(Aging skin)
- 無月経(Amenorrhea)
- 不安(Anxiety)
- 良性前立腺肥大(BPH)
- 認知症(Dementia)
- 月経困難症(Dysmenorrhea)
- 線維嚢胞性乳腺症(Fibrocystic breast disease)
- 高プロラクチン血症(Hyperprolactinemia)
- 女性不妊(Infertility)
- 虫除け(Insect repellent)
- 不眠(Insomnia)
- 授乳促進(Lactation)
- 更年期症状(Menopausal symptoms)
- 過多月経(Menorrhagia)
- 片頭痛(Migraine)
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 月経前不快気分障害(PMDD)
- 関節リウマチ(RA)
- 性機能障害(Sexual dysfunction)
➡ さらなる研究が必要
💊 用量と投与方法
成人(Oral, 経口)
- 通常、3.2〜40 mgの乾燥果実エキスを2〜6か月間使用 (7055,7078,90619)。
- EUハーブモノグラフでは、6-12:1の乾燥エキスを60%エタノール溶媒で抽出することを推奨 (101981)。
🧪 標準化・製剤
多くのビテックス・アグヌス・カスタス製剤には以下の標準化成分が含まれます:
- アグヌサイド(Agnuside) 6% (7012,13393)
- カスチシン(Casticin) 含有 (7055,7078,90619)
📌 市販製品の例
- Agnolyt (Madaus AG): 乾燥果実エキス 3.5-4.2 mg
- Ze 440 (Prefemin, Zeller AG): 乾燥果実エキス 20 mg, カスチシン含有
- Femicur (Schaper & Brummer GmbH): 乾燥果実エキス 1.6-3 mg
- BNO 1095 (Agnucaston/Cyclodynon, Bionorica AG): 乾燥果実エキス 4 mg
- Agnugol (Goldaru Pharmacy Company): 乾燥果実エキス 4 mg
⚠ 相互作用
💊 医薬品との相互作用
-
抗精神病薬(Antipsychotics)
- ドーパミンD2受容体に作用する可能性があり、抗精神病薬の効果を妨げる可能性 (7014,7015)。
-
経口避妊薬(Oral Contraceptives)
- ホルモンバランスに影響を与える可能性があり、避妊効果を減少させる恐れ (11456)。
-
ドーパミン作動薬(Dopamine Agonists)
- ドーパミンD2受容体に作用するため、これらの薬の効果を変化させる可能性。
-
エストロゲン(Estrogens)
- ホルモン様作用があり、エストロゲン療法と相互作用する可能性がある。
-
メトクロプラミド(Reglan)
- ドーパミン作動作用のため、メトクロプラミドの効果に干渉する可能性。
➡ 服用中の薬がある場合は医師に相談
🔬 作用機序
1️⃣ ホルモン調節作用
- プロラクチン分泌を抑制し、黄体機能を正常化 (9988)。
- 低用量ではプロラクチンを増加させ、高用量では抑制する (7016)。
- エストロゲンとプロゲステロン様作用がある可能性 (11456,13397)。
2️⃣ 抗炎症・抗菌作用
- 抗ヒスタミン・抗炎症作用を持つ (96435)。
- グラム陽性菌・陰性菌、真菌に対して中程度の抗菌活性を示す (12838,41517)。
💡 結論
- ✅ 月経不順・PMS・乳房痛には一定の効果がある可能性
- ❌ 妊娠・授乳中は使用を避ける
- ⚠ ホルモンバランスに影響を与えるため、薬との相互作用に注意
- 🛑 長期使用の安全性は不明
References
See Monograph References
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- タグ: サプリメント