学名
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Salix alba(ホワイトウィロー / ヨーロッパヤナギ)
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Salix babylonica(シダレヤナギ)
- Salix daphnoides
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Salix fragilis(クラッキンウィロー) など
科
ヤナギ科(Salicaceae)
概要
ウィローバーク(ヤナギ樹皮)は、以下のヤナギ属の樹木の樹皮から得られます。
- ホワイトウィロー(Salix alba)
- ブラックウィロー(Salix nigra)
- クラッキンウィロー(Salix fragilis)
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パープルウィロー(Salix purpurea) など
主な用途
- 鎮痛作用(痛みの軽減)
- 解熱作用(発熱の緩和)
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サリシン(Salicin)の供給源
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サリシンは、アスピリン(サリチル酸)の前駆体であり、最初に発見された鎮痛・解熱成分の1つです。
警告(WARNINGS)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との関連
- 一部の専門家は、ウィローバークがCOVID-19に対する免疫応答や炎症反応を妨げる可能性があると警告しています。
- ただし、この警告を支持する強力な証拠はなく、COVID-19感染に対する有益性も証明されていません。
安全性(Safety)
おそらく安全(POSSIBLY SAFE)
- 適切に短期間経口摂取した場合は安全である可能性が高い。
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最長12週間の使用において、安全性が報告されています。
小児(CHILDREN):おそらく危険(POSSIBLY UNSAFE)
- ウィローバークにはサリチル酸が含まれており、ウイルス感染症にかかった子供に使用すると、ライ症候群(Reye's syndrome)のリスクがある可能性があります。
- ライ症候群の症例は報告されていませんが、アスピリンと類似の作用を持つため注意が必要です。
妊娠中(PREGNANCY)
- 信頼できる十分な情報がないため、使用を避けるべきです。
授乳中(LACTATION):おそらく危険(POSSIBLY UNSAFE)
- ウィローバークのサリチル酸が母乳中に移行する可能性があり、乳児に悪影響を与えることが報告されています。
副作用(Adverse Effects)
一般的な副作用(Most Common Adverse Effects)
- 下痢
- 消化不良(ディスペプシア)
- 胸やけ
- 嘔吐
- 皮膚のかゆみや発疹(敏感な人に発生することがある)
重篤な副作用(Serious Adverse Effects, Rare)
- 胃腸出血
- 腎機能障害
- アスピリンアレルギーの人では、アナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)が起こる可能性がある。
有効性(Effectiveness)
おそらく有効(POSSIBLY EFFECTIVE)
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腰痛(Back pain)
- ウィローバーク抽出物の経口摂取は、腰痛の緩和に有効である可能性がある。
信頼できる十分な証拠がない(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE)
- 強直性脊椎炎(Ankylosing spondylitis)
- 風邪(Common cold)
- 月経困難症(Dysmenorrhea)
- 痛風(Gout)
- 頭痛(Headache)
- インフルエンザ(Influenza)
- 関節痛(Joint pain)
- 筋肉痛(Myalgia)
- 肥満(Obesity)
- 変形性関節症(Osteoarthritis)
- 関節リウマチ(Rheumatoid arthritis, RA)
摂取方法と用量(Dosing & Administration)
成人(経口摂取)
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サリシンとして1日120-240mgを摂取(最長6週間)。
- ウィローバーク抽出物は通常、サリシン含有量(6.7%~30.7%)に標準化されている。
薬との相互作用(Interactions with Drugs)
抗凝固薬・抗血小板薬(ANTICOAGULANT/ANTIPLATELET DRUGS)
- ウィローバークは血液をサラサラにする作用があるため、抗凝固薬(ワルファリンなど)や抗血小板薬(アスピリンなど)との併用で出血リスクが増加する可能性がある。
アスピリン(ASPIRIN)
- ウィローバークはアスピリンの作用を強め、副作用を増加させる可能性がある。
アセタゾラミド(ACETAZOLAMIDE)
- 副作用が相加的に増える可能性があるため注意が必要。
薬理作用(Mechanism of Action)
- ウィローバークにはフラボノイド、タンニン、サリシンが含まれる。
- サリシンは体内でサリチルアルコールに変換され、その後サリチル酸に代謝される。
- アスピリンと同様の作用を持つが、ウィローバークの抽出物はCOX-1やCOX-2を直接阻害しない。
1. 鎮痛・抗炎症作用
- ウィローバーク抽出物は、COX-2依存性のプロスタグランジン放出を抑制する可能性がある。
- リポキシゲナーゼ阻害作用や抗酸化作用も関与している可能性がある。
2. 抗血小板作用(Antiplatelet effects)
- ウィローバークは血小板凝集を抑制するが、アスピリンよりも弱い。
3. 解熱作用(Antipyretic effects)
- 初期研究では、ウィローバーク抽出物に解熱作用があることが示唆されている。
4. 体重減少効果(Weight loss effects)
- ウィローバークはエフェドリンと組み合わせた場合に脂肪燃焼作用を増強する可能性がある。
- ただし、単独では体温上昇や代謝促進の効果はない。
結論
- ウィローバークは天然のアスピリン様成分であり、腰痛の緩和に役立つ可能性がある。
- 抗凝固薬との併用は避けるべき。
- 小児、妊婦、授乳中の使用は推奨されない。