ウォータークレス(Watercress)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Nasturtium officinale(シノニム:Radicula nasturtium、Rorippa nasturtium)

科名

アブラナ科(Brassicaceae/Cruciferae)


注意事項

以下の植物と混同しないように注意

  • ナスタチウム(Nasturtium)
  • スカーヴィグラス(Scurvy Grass)

概要

ウォータークレスは東地中海およびアジアの一部を原産とする多年草で、小さくピリッとした葉が特徴です。
食用および薬用として広く栽培されている (99815)。


伝統的な用途

経口摂取(食用・薬用)

  • 呼吸器系の炎症(Respiratory tract inflammation)
  • 咳(Cough)
  • 気管支炎(Bronchitis)
  • インフルエンザ(Influenza)
  • 結核(Tuberculosis)
  • 壊血病(Scurvy)
  • ポリープ(Polyps)
  • 甲状腺腫(Goiter)
  • 消化促進(Improving digestion)
  • 春の強壮剤(Spring tonic)
  • 食欲増進剤(Appetite stimulant)
  • 流産誘発剤(Abortifacient)
  • 媚薬(Aphrodisiac)
  • 抗菌剤(Bactericide)
  • 緩下剤(Laxative)
  • 回復剤(Restorative)
  • 刺激剤(Stimulant)
  • 駆虫剤(Anthelmintic)

外用(塗布)

  • 関節リウマチ(Rheumatoid arthritis, RA)
  • 耳痛(Earache)
  • アトピー性皮膚炎(Eczema)
  • 疥癬(Scabies)
  • いぼ(Warts)

食品

  • サラダ葉やスパイスとして広く利用される。

安全性

「おそらく安全(LIKELY SAFE)」(食品として適量摂取する場合)

「おそらく安全(POSSIBLY SAFE)」(短期間の薬用量)

  • ウォータークレス抽出物750 mg/kgを5週間まで摂取しても安全とされる (103891)。

「おそらく危険(POSSIBLY UNSAFE)」(長期間または過剰摂取時)

  • 胃粘膜の刺激や損傷を引き起こす可能性あり (8,12,19,85599)。

🚨 「危険(LIKELY UNSAFE)」(小児への薬用量)

  • 4歳未満の子供には使用を避ける (12,19)。

🚨 「危険(LIKELY UNSAFE)」(妊娠中の薬用量)

  • 月経を促進し、流産を引き起こす可能性がある (19)。

授乳中の使用については、十分な情報がないため避けるべき。


副作用

食品として適量摂取する場合は問題ないが、薬用量の副作用に関する情報は限られている。

🚨 過剰摂取による副作用

  • 消化器の刺激(Gastrointestinal irritation) (85599)
  • 寄生虫感染(肝吸虫症, Fascioliasis)(生のウォータークレスを食べると発症することがある) (85575,85574,85573,85567,85564,85582)

🚨 外用による副作用

  • 接触性皮膚炎(Contact dermatitis) (85594,85587)

有効性

ウォータークレスの効果について、信頼できる十分な情報がない。


用量と使用方法

📌 適切な摂取量に関する標準的な情報はなし。


薬との相互作用

⚠ クロルゾキサゾン(Chlorzoxazone, Parafon Forte, Paraflex)

  • ウォータークレスがクロルゾキサゾンの代謝を遅らせ、作用と副作用を増強する可能性がある (4018)。

⚠ リチウム(Lithium)

  • ウォータークレスには利尿作用があると考えられ、リチウムの排泄を低下させ、血中濃度を上昇させる可能性がある。

⚠ ワルファリン(Warfarin, Coumadin)

  • ウォータークレスにはビタミンKが含まれており、大量摂取するとワルファリンの抗凝固作用を弱める可能性がある (11285)。

サプリメントとの相互作用

  • 知られている相互作用なし。

健康状態との相互作用

胃・十二指腸潰瘍(Gastric or duodenal ulcers)

  • ウォータークレスの成分が胃粘膜を刺激する可能性があるため、潰瘍のある人は注意が必要。

炎症性腎疾患(Inflammatory kidney diseases)

  • ウォータークレスの利尿作用が腎疾患に影響を与える可能性がある。

過剰摂取

  • ウォータークレスの過剰摂取に関する十分な情報なし。

薬物動態(Pharmacokinetics)

  • ウォータークレスに含まれるグルコシノレートは腸内でフェネチルイソチオシアネート(PEITC)に変換される (109663,109666)。
  • 摂取後、尿中にPEITCや関連代謝物が排泄される (85555)。

作用機序(Mechanism of Action)

主な成分

  • マスタード油配糖体(Mustard glycosides)
  • マスタードオイル(Mustard oil)
  • グルコシノレート(Gluconasturtiin)
  • フェノール化合物(Phenylpropionitrile, 8-methylthiooctanone nitrile)
  • ビタミン(A, B6, C, E, K, チアミン, リボフラビン, ナイアシン)
  • ミネラル(鉄、リン、ヨウ素、銅、カルシウム、マンガン)

① 抗がん作用

  • フェネチルイソチオシアネート(PEITC)が発がん物質の活性化を抑制 (85572,85566,55547,85556)。

② 抗炎症作用

  • ウォータークレス抽出物が炎症性サイトカインの産生を調整 (99815,103891)。

③ 抗酸化作用

  • ウォータークレス抽出物が脂質過酸化を抑制 (103891,109666)。

まとめ

ウォータークレスは食品として適量摂取する場合は安全。
薬用量での使用は短期間なら安全だが、長期間・過剰摂取は胃粘膜に影響を与える可能性がある。
寄生虫感染のリスクがあるため、生食は注意。
🚨 妊娠中・小児への薬用量摂取は危険。

 

References

See Monograph References


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