学名
Erysimum cheiri(シノニム:Cheiranthus cheiri)
科名
アブラナ科(Brassicaceae / Cruciferae)
注意事項
カナディアンヘンプ(Canadian hemp, 別名Wallflower)とは異なるため、混同しないように注意。
概要
ウォールフラワーは強心配糖体(cardiac glycosides)を含むハーブであり、かつては薬用として使用されていましたが、現在では医療用途としては廃れたとされています (18)。
伝統的な用途
ウォールフラワーは、以下の目的で経口摂取されてきました。
- 心不全(心機能低下)の改善
- 月経促進
- 緩下剤(便秘改善)
- 肝臓・胆嚢疾患の治療(苦味成分による作用)
安全性
⚠ 経口摂取すると「おそらく危険」
- ウォールフラワーは強心配糖体を含むため、毒性を持つ可能性がある (18)。
妊娠・授乳中の使用
⚠ 経口摂取すると「おそらく危険」(18)
- 強心配糖体による毒性のリスクがあるため、使用を避けることが推奨される。
副作用
一般的な副作用
⚠ ウォールフラワーは強心配糖体を含むため、重大な副作用を引き起こす可能性がある。
⚠ ただし、経口摂取した場合の吸収率は明確ではない (18)。
有効性
ウォールフラワーの効果に関する信頼できる十分な情報はありません。
用量と使用方法
成人の推奨用量
標準化と製剤化
- ウォールフラワーの標準化に関する信頼できる情報はありません。
薬との相互作用
コルチコステロイド(副腎皮質ステロイド)
⚠ 併用に注意(中程度の相互作用)
- コルチコステロイドは電解質(特にカリウム)を減少させるため、強心配糖体の毒性リスクを高める可能性がある (19)。
ジゴキシン(Digoxin, Lanoxin)
⚠ 併用に注意(中程度の相互作用)
- 強心配糖体の作用が重複し、心毒性のリスクが増大するため、併用は禁忌 (2)。
利尿薬(Diuretics)
⚠ 併用に注意(中程度の相互作用)
- カリウム排出を促進する利尿薬(フロセミド、クロロチアジドなど)と併用すると、カリウム欠乏による心毒性のリスクが高まる (506)。
- 該当する利尿薬:
- クロロチアジド(Diuril)
- クロルタリドン(Thalitone)
- フロセミド(Lasix)
- ヒドロクロロチアジド(HCTZ, Hydrodiuril, Microzide)
キニジン(Quinidine)
⚠ 併用に注意(中程度の相互作用)
- 心臓のリズムに影響を与える薬剤であり、併用すると強心配糖体の毒性リスクが増大する (18)。
キニーネ(Quinine)
⚠ 併用に注意(中程度の相互作用)
- 併用により強心配糖体の毒性リスクが高まる可能性がある (18)。
刺激性下剤(Stimulant Laxatives)
⚠ 併用に注意(中程度の相互作用)
- 電解質バランスを乱し、カリウム欠乏により心毒性のリスクを増大させる可能性がある (19)。
サプリメントとの相互作用
カルシウムサプリメント
⚠ 併用に注意
- カルシウムがウォールフラワーの副作用を増加させる可能性がある (18)。
強心配糖体を含むハーブ
⚠ 併用禁止(禁忌)
- 強心作用が重複し、心毒性のリスクが高まる。
- 該当するハーブ:
- ブラックヘレボル(Black hellebore)
- カナディアンヘンプ(Canadian hemp roots)
- ジギタリス(Digitalis leaf)
- スズラン(Lily of the Valley roots)
- オレアンダー(Oleander leaf)
シンコナ(Cinchona)
⚠ 併用に注意
- ウォールフラワーの毒性を増大させる可能性がある (19)。
マオウ(Ephedra, Ma huang)
⚠ 併用に注意
- ウォールフラワーの毒性を増大させる可能性がある (19)。
スギナ(Horsetail)・甘草(Licorice)
⚠ 併用に注意
- 過剰使用によりカリウム欠乏が進み、心毒性リスクが増大する可能性がある (19)。
刺激性下剤を含むハーブ
⚠ 併用に注意
- ウォールフラワーと併用すると下剤作用が強まり、カリウム欠乏のリスクが増加。
- 該当するハーブ:
- アロエ(Aloe)
- センナ(Senna)
- ルバーブ(Rhubarb)
- イエロードック(Yellow dock)
健康状態との相互作用
心疾患(Cardiac Conditions)
- 心疾患のある人はウォールフラワーの使用を避けるべき。
薬物動態(Pharmacokinetics)
- 経口摂取時、ウォールフラワーの強心配糖体は吸収が悪い可能性がある (18)。
作用機序(Mechanism of Action)
- 全草(葉、花、種子)が伝統的に使用されてきた (108937)。
- 強心配糖体(cardenolides, cardioactive steroids)やフラボノイド(イソラムネチン、ケンフェロール、ケルセチン)を含む (18,108937)。
- 抗炎症作用を持ち、ジクロフェナクと比較した研究では根と花が最も強い作用を示した (108937)。
まとめ
🚨 ウォールフラワーは強心配糖体を含むため、毒性があり、医療用途としては推奨されない。
🚨 心疾患のある人や妊娠・授乳中の人は特に使用を避けるべき。
🚨 薬やサプリメントとの相互作用が多く、安全性が確立されていないため、使用には注意が必要。
References