カワラタケ (Turkey Tail Mushroom)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Coriolus versicolor(シノニム: Trametes versicolor, Polyporus versicolor)

タマチョレイタケ科 (Polyporaceae)

その他の一般的な名称

カワラタケ


概要

カワラタケは、広葉樹の切り株や朽ち木に自生する一般的なキノコです。
伝統的な中国医学では、免疫力向上や解毒作用、がん、肝炎、感染症などに用いられてきました。

現在の研究では、カワラタケ全体ではなく、以下の2つの成分が主に使用されています。

  • PSK(多糖体クレスチン: Polysaccharide Krestin)
  • PSP(多糖体ペプチド: Polysaccharide Peptide)

安全性

■「経口摂取」および「適切な使用」でおそらく安全。

  • カワラタケそのもの、またはPSK・PSP成分は、経口で適切に使用すれば安全と考えられています。

■「外用」および「膣内使用」については信頼できる十分な情報がありません。

■ 妊娠・授乳中の使用は避けるべきです(安全性に関する十分な情報がないため)。


副作用

一般的には良好に耐えられるとされています。
ただし、PSKを標準的な抗がん剤治療と併用した患者で、以下のような副作用が報告されています。

  • 胃腸障害
  • 血液異常
  • 肝機能障害
  • 動悸

これらの症状がPSKによるものか、抗がん剤によるものかは不明です。


効能

■「効果がある可能性がある」
がん
標準的ながん治療に加えてPSKを服用すると、一部の患者で治療効果や生存率が向上する可能性があります。
ただし、カワラタケ全体を使用した場合には効果がないというデータもあります。

■「評価に十分な情報がない」
子宮頸部異形成
膣内にカワラタケを含む製品を使用した研究がありますが、他成分も含まれているため、単独での効果は不明です。


用法・用量

■ 成人(経口)

  • PSK: 1日3グラムを最長36カ月間
  • カワラタケ全体: 1日2.4グラムを最長12週間

■ 外用
研究不足のため、標準的な用量は不明です。


有効成分・製剤化

薬用に使われるカワラタケから以下の2種類の多糖体成分が抽出されています。

  • PSK(クレスチン): 日本製、CM-101株由来
  • PSP(ペプチド): 中国製、COV-1株由来

商業製品として健康補助食品としても流通しています。


相互作用

■「薬剤との相互作用」

  1. 糖尿病薬
     低血糖のリスクが理論上高まる可能性がある。

  2. シクロホスファミド(抗がん剤)
     PSPが薬剤の体内濃度を上昇させる可能性がある。

  3. CYP2C9基質薬剤(肝代謝酵素)
     PSPが酵素を阻害し、薬剤の分解を遅らせる可能性がある。

  4. タモキシフェン(乳がん治療薬)
     PSPが吸収を妨げる可能性がある。

■「サプリメントとの相互作用」
低血糖作用があるハーブやサプリメントと併用すると低血糖リスクが増す可能性。


過剰摂取

過剰摂取時の症状や治療法について、信頼できる情報はありません。


製品例

カナダ保健省認可製品やスポーツ向けNSF認証製品などがあります。


薬物動態

■ 吸収
PSKは経口摂取後、消化管で一部分解され、小分子として24時間以内に吸収されます。

■ 分布
消化管、骨髄、唾液腺、胸腺、副腎、脳、肝臓、脾臓、膵臓、腫瘍組織に分布。
特に肝臓と骨髄で長く留まる。

■ 排泄
動物では、以下の割合で排泄されます。

  • 呼気: 70%
  • 便: 20%
  • 尿: 10%
  • 胆汁: 0.8%

24時間以内に約86%排泄されます。


作用機序

■ 免疫賦活
PSKやPSPは、Tリンパ球の活性化やサイトカイン産生促進、補体活性化など、免疫系に作用します。

■ 抗腫瘍
腫瘍細胞の遊走や接着を抑制し、転移を防ぐ働きがあります。

■ 抗炎症
トリテルペノイドやステロール成分が、炎症性物質(NO、TNF-α、IL-6)を抑制します。

■ 抗酸化
PSKはグルタチオンペルオキシダーゼ活性を増強します。

■ 抗ウイルス
PSPはHIVに対する逆転写酵素阻害活性があります。

■ 肝保護
PSPはアセトアミノフェン誘発肝障害から保護する可能性があります。

■ 抗真菌
PSKはカンジダ感染症に対して免疫反応を促進します。

■ 鎮痛
動物実験で鎮痛作用の可能性が示唆されています。

■ 抗糖尿病
膵炎保護作用がありますが、α-アミラーゼ阻害作用はありません。

■ 膣内使用
カワラタケ、アロエベラ、ニームなどを含む製品で膣粘膜修復効果が報告されています。


分類

免疫調整剤、免疫刺激剤、薬用キノコ


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