注意事項(CAUTION)
- シラジットは、その成分である「フルボ酸(Fulvic Acid)」や「フミン酸(Humic Acid)」と混同しないこと。
概要(Overview)
- シラジットは、アジアの高山地帯の岩の亀裂から得られる粘着性のある滲出物で、動物、微生物、鉱物、植物由来の成分を含む。
- アーユルヴェーダ医学では、アダプトゲン(Adaptogen:ストレス耐性を高める物質)として利用されている。
- 経口・外用で、がん、免疫調整、代謝疾患、創傷治癒、脳・中枢神経系、心血管系、消化器系、生殖器・泌尿器・呼吸器系、筋骨格系、皮膚、脾臓の疾患に使用される。
安全性(Safety)
✅ おそらく安全(POSSIBLY SAFE)
- 精製されたシラジットは、適切に使用すれば安全と考えられる。
- 2g/日を45日間、または500mg/日を最大48週間の摂取が安全であるとする報告がある。
⚠ 未精製のシラジットの安全性は不明
- 未処理のシラジットは、重金属や微生物の汚染が懸念されるため、精製されたものを使用するべき。
⚠ 妊娠・授乳中の使用(PREGNANCY AND LACTATION)
副作用(Adverse Effects)
✅ 一般的には耐容性がある(well tolerated)。
まれな重篤な副作用
- 偽性アルドステロン症(Pseudohyperaldosteronism):血圧上昇や電解質異常のリスク。
効果の有効性(Effectiveness)
📌 信頼できる十分な証拠がない(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE)
- アルツハイマー病(Alzheimer disease)
- 運動能力向上(Athletic performance)
- 良性前立腺肥大症(BPH)
- 糖尿病(Diabetes)
- 骨折(Fractures)
- 高脂血症(Hyperlipidemia)
- 高血圧(Hypertension)
- 男性不妊(Male infertility)
- 筋力増強(Muscle strength)
- 骨減少症(Osteopenia)
- 骨粗鬆症(Osteoporosis)
🚨 これらの用途に関する臨床的な有効性は確認されておらず、さらなる研究が必要。
用法・用量(Dosing & Administration)
🔹 成人(経口摂取)
- 精製シラジットは200~500mg/日が一般的な使用量(最大48週間)。
標準化・製剤(Standardization & Formulation)
- 未精製シラジットは、重金属や微生物が混入している可能性があるため、ろ過・水抽出・乾燥などの処理が施される。
-
臨床研究で使用される製品(例:PrimaVie)は、以下の基準で標準化されている。
- ジベンゾ-α-ピロン(Dibenzo-alpha-pyrones, DPBs)10.3%以上
- DPBクロモプロテイン
- フルボ酸50%以上
薬物・サプリメントとの相互作用(Interactions)
薬物との相互作用(Interactions with Drugs)
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抗糖尿病薬(Antidiabetes drugs)
- シラジットが血糖値を低下させる可能性があり、低血糖のリスクを増加させる。
サプリメントとの相互作用(Interactions with Supplements)
- 低血糖作用のあるハーブ・サプリメントとの併用に注意が必要。
疾患との相互作用(Interactions with Conditions)
- 手術前の使用(Perioperative)には注意が必要。
作用機序(Mechanism of Action)
主な成分
- フルボ酸(Fulvic acid)
- フミン酸(Humic acid)
- ジベンゾ-α-ピロン(Dibenzo-alpha-pyrones, DPBs)
- ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸、アミノ酸、有機酸、ワックス、ステロイドなど
主な作用
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鎮痛作用(Analgesic effects)
- 動物研究では、炎症性疼痛の軽減効果が報告されている。
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抗がん作用(Anti-cancer effects)
- 試験管レベルでは乳がん・肺がん細胞に対する細胞毒性が示唆されている。
- 骨肉腫動物モデルでは、転移による肝臓・腎臓損傷の抑制が報告されている。
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抗酸化作用(Antioxidant effects)
- スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ビタミンC・Eのレベルを増加。
- 閉経後の女性で酸化ストレスマーカーを低減。
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抗潰瘍作用(Anti-ulcerogenic effects)
- アスピリン誘発胃潰瘍モデルで、胃病変の軽減効果が確認されている。
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心血管保護作用(Cardioprotective effects)
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疲労軽減(Fatigue effects)
- 慢性疲労モデルでストレスホルモン(コルチコステロン)の低下が報告されている。
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生殖機能改善(Fertility effects)
- テストステロンと卵胞刺激ホルモン(FSH)の増加。
- 精子運動率・精子数の改善。
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肝保護作用(Hepatoprotective effects)
- 非アルコール性脂肪肝モデルで肝酵素・脂質異常を改善。
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脂質低下作用(Hypolipidemic effects)
- トリグリセリド・総コレステロール・LDLを低下、HDLを増加。
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免疫調節作用(Immune effects)
- 筋力・コラーゲン合成促進(Muscular effects)
- 筋細胞の修復・再生を促進し、運動後の筋力低下を抑制。
結論
✅ シラジットは伝統医学で多くの用途に使用され、抗酸化・抗炎症・免疫調整・生殖機能改善の可能性があるが、科学的証拠は限定的。
✅ 精製された製品を使用し、未精製のものは避けるべき。
✅ 糖尿病治療中の人は低血糖リスクに注意が必要。