トーメンティル (Tormentil)

投稿者 :リンクプロ on

学名: Potentilla erecta, Potentilla tormentilla
科名: バラ科(Rosaceae)

注意: トーメンティルは、ブラッドルート(Bloodroot)、ジャーマンサルサパリラ(German Sarsaparilla)、ポテンティラ(Potentilla)、サルサパリラ(Sarsaparilla)と混同しないよう注意が必要です。これらの名前で呼ばれることもあります。


概要

トーメンティルはバラ科に属する植物で、北半球の温帯、寒帯、高山地帯に自生しています。伝統的に下痢口腔粘膜の炎症に用いられてきました。


安全性

経口摂取:
おそらく安全… 適切に使用すれば安全と考えられています。トーメンティル抽出物は、1日最大3g、3週間まで使用した例があります。
外用使用:
 おそらく安全… 適切に使用した場合、安全と考えられています。

妊娠・授乳中:
十分な情報がないため使用を避けるべきです。


副作用

経口摂取時:
一般的に良好に耐えられますが、以下の症状が報告されています。

  • 腹痛
  • 胸やけ
  • 胃の膨満感

効能・効果(有効性)

信頼できる十分な情報なし
ロタウイルス性下痢 → 小児への有効性不明
潰瘍性大腸炎 → 有効性不明

※これらの用途については、さらに研究が必要です。


用法・用量

成人・経口摂取:
・研究が限られているため標準的な用量は不明
・伝統的に、トーメンティルシロップが1日600mg程度用いられてきました。
乳製品と一緒に摂取しない方が良いとされています。
 理由:牛乳中の成分が、トーメンティルに含まれるタンニンと結びつき、効果が弱まる可能性があるため。

成人・外用:
・研究が限られているため標準的な用量は不明
・伝統的には、1:10チンキ剤を水に10~20滴加え、うがい薬として使用されてきました。

小児:
・経口・外用ともに、標準的な用量情報は不明


成分・製品

エタノール乾燥抽出物(例:ratiogast、ラチオファーム社製)
 カプセル1粒あたり200mgの抽出物(タンニン15~22%、トリテルペン、フラボノイドを含む)


相互作用

薬剤:
特になし

サプリメント:
特になし

疾患:
特になし

検査:
特になし


過剰摂取

・過剰摂取時の症状や治療について、信頼できる情報はありません。


薬理作用・効果メカニズム

【有効成分】
根に含まれる主成分:

  • タンニン(17~22%)
  • プロアントシアニジン
  • フラボノイド
  • トリテルペン(トリテルペングリコシド・テルメントシドなど)

【作用】
抗菌作用:
・試験管レベルでは、バチルス属、シュードモナス属、黄色ブドウ球菌、大腸菌などに対する抗菌作用を示しました。

抗炎症作用:
・水抽出物が、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用、プロスタグランジン生合成阻害作用を示しました。

抗血小板作用・凝固:
・動物実験では、**低用量では血栓形成を抑制(抗血小板作用)**しましたが、
 高用量では逆に血栓形成を促進し、線溶(血栓溶解)を低下させる場合もありました。
 → 用量によって作用が異なるため注意が必要です。

抗酸化作用:
・糖尿病モデルラットで、トーメンティル根抽出物を傷口に塗布すると、
 血漿中の一酸化窒素やグルタチオン濃度を上昇させ、脂質過酸化物を減少させました。

創傷治癒促進作用:
・糖尿病モデルラットで、創傷収縮速度上昇・傷口縮小・コラーゲン増加が確認されました。


まとめ

伝統的に下痢や口腔炎症に使われてきた植物
・タンニンが多く含まれ、抗菌・抗炎症・創傷治癒促進などの可能性
低用量では血小板抑制、高用量では逆に血栓形成促進の可能性もあり、用量に注意
乳製品と一緒に摂取しない方が良い
妊娠・授乳中は安全性不明なので避ける


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