ビタミンK(Vitamin K)

投稿者 :リンクプロ on

学名
フィトナジオン(K1)、メナキノン(K2)、メナジオン(K3)

概要
ビタミンKは、**ナフトキノン類(naphthoquinones)**と呼ばれる化学的に類似した脂溶性化合物のグループを指します (91449)。
「ビタミンK」という名称は、ドイツ語の「Koagulationsvitamin(凝固ビタミン)」に由来しています (57)。

ビタミンK1(フィトナジオン、フィロキノン)は、緑葉野菜や植物油などの植物に含まれます (64)。
ビタミンK2(メナキノン、MK)は、腸内細菌によって合成されるか、チーズなどの食品から摂取されます (64)。
ビタミンK3やビタミンK4は、北米では販売されていません (15,17)。
安全性
✅ 安全性が高い
ビタミンK1(フィトナジオン)またはビタミンK2(メナキノン)を適切に経口摂取する場合

耐容上限摂取量(UL)は設定されていない(多くの研究で副作用が確認されていないため)。
臨床試験では以下の高用量でも安全性が確認されている:
ビタミンK1: 最大10mg/日
ビタミンK2: 最大45mg/日
試験期間:最長2年間 (54,55,58,6799,7135,14364)。
ビタミンK1(フィトナジオン)を適切に注射で使用する場合

経口および注射用ビタミンK1はFDA承認の医薬品 (7135)。
🟡 可能性として安全
ビタミンK1(0.1%)をクリームや軟膏として12週間まで使用する場合 (91455,103919)。
👶 子供
適切な経口または注射投与で使用する場合、安全とされる。
FDA承認の経口・注射薬あり
子供の耐容上限摂取量(UL)は設定されていない (7135)。
🤰 妊娠・授乳
日常的な摂取量(AI: Adequate Intake)を超えない範囲であれば安全
妊娠・授乳中の耐容上限摂取量(UL)は設定されていない (7135)。
⚠ 副作用
一般的な副作用
経口摂取では通常よく耐容される
最も一般的な副作用:
下痢
吐き気
胃の不調
⚠ 重篤な副作用(まれ)
静脈内投与:
アナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)
高ビリルビン血症(特に新生児)
効果の評価
✅ 効果が確認されている(EFFECTIVE)
新生児出血性疾患(HDN: Hemorrhagic Disease of the Newborn)

経口または筋肉内注射のビタミンK1は、新生児の出血性疾患の予防に有効。
低プロトロンビン血症(Hypoprothrombinemia)

経口または注射で治療および予防に有効。
ビタミンK依存性凝固因子欠乏症(VKCFD: Vitamin K-Dependent Clotting Factors Deficiency)

経口および静脈内投与が第一選択の治療。
ワルファリン過剰抗凝固作用の逆転

経口または静脈内ビタミンK1は、ワルファリンの過剰な抗凝固作用を逆転させる。
ただし、不安定なINR(国際標準比)を持つ患者に対する経口ビタミンK1の効果については研究結果が一致していない。
🟡 可能性がある(POSSIBLY EFFECTIVE)
骨粗鬆症(Osteoporosis)
経口ビタミンKが骨折リスクおよび骨密度低下を軽減する可能性。
ただし、骨粗鬆症のリスクがある人に対する予防効果は明確でない。
❌ 効果がない可能性が高い(POSSIBLY INEFFECTIVE)
未熟児の脳室内出血
経口ビタミンKは予防効果がない。
⚪ 効果が不明(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE TO RATE)
運動パフォーマンス
乳がんリスクの低下
心血管疾患(CVD)のリスク低減
白内障の予防
認知機能低下の抑制
糖尿病の血糖コントロール改善
腎不全患者の筋痙攣軽減
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の改善
関節リウマチ(RA)の症状改善
脳卒中リスクの低減 など
⚠ 相互作用
⚠ 医薬品との相互作用
ワルファリン(Coumadin)
ビタミンKはワルファリンの抗凝固作用を打ち消すため、併用は推奨されない。
⚠ サプリメントとの相互作用
コエンザイムQ10(CoQ10)

ビタミンKに類似した作用があり、凝固作用を強める可能性。
ビタミンE

大量のビタミンE摂取がビタミンKの作用を阻害する可能性。
⚠ 栄養素の枯渇(薬剤による影響)
抗生物質: 長期使用でビタミンKの減少
胆汁酸吸着剤: ビタミンKの吸収低下
鉱油(ミネラルオイル): 吸収低下
オルリスタット(Xenical, Alli): 吸収低下
リファンピン(Rifampin): ビタミンKの減少
💡 結論
✅ ビタミンKは血液凝固に不可欠であり、新生児出血症やワルファリン過剰抗凝固作用の逆転に有効。
✅ 骨密度を改善する可能性があるが、心血管疾患やがん予防の効果は不明。
🚫 ワルファリンを服用している場合は、ビタミンKサプリメントを避けるべき。
🚫 大量のビタミンE摂取は、ビタミンKの作用を妨げる可能性あり。

 

References

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