ヘムロックウォータードロップワート(Hemlock Water Dropwort)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Oenanthe crocata

科名

セリ科(Apiaceae/Umbelliferae)


注意事項

以下の植物と混同しないように注意

  • ヘムロック(Hemlock)
  • ヘムロックスプルース(Hemlock Spruce)
  • ウォーターヘムロック(Water Hemlock)

概要

ヘムロックウォータードロップワートは水辺の溝、湿地、川岸などに生育する多年生の有毒植物です (6334,6337)。
イギリス諸島で最も有毒な植物とされる (6334)。
誤って野生のパースニップ(Pastinaca)、ラディッシュ、スイートフラッグ、ピグナット(Conopodium majus)と間違えて摂取されることがある (6334,6337,103905)。


伝統的な使用

経口摂取は極めて危険であるため、伝統的な使用法でも注意が必要。

  • 外用(塗布)で皮膚炎の治療に利用された記録がある。

安全性

「危険(UNSAFE)」(経口摂取時) (6334)

経口摂取による致死性

  • 根の摂取は致命的となる可能性がある。
  • 主な有毒成分「オエナントトキシン(Oenanthotoxin)」の致死量は10~20mgであり、これは約20gの根に含まれる量に相当 (6335,6337,103905)。
  • 特に冬から春にかけての根の毒性が最も高い (6335,6337,103905)。
  • 誤食した場合は、即時の医療措置が必要 (6334)。

外用使用(塗布)についての安全性は不明。

小児への影響

  • 「危険(UNSAFE)」(経口摂取時)(6334)
  • 根や塊茎の誤食による中毒例あり (6334)。

妊娠・授乳中の使用

  • 「危険(UNSAFE)」(経口摂取時)(6334)
  • 摂取すると致命的となる可能性がある。

副作用(中毒症状)

ヘムロックウォータードロップワートの根を経口摂取すると、以下の中毒症状を引き起こす可能性がある。

一般的な副作用

  • 吐き気(Nausea)
  • めまい(Dizziness) (6334)
  • 腹痛(Abdominal pain) (6335)
  • 嘔吐(Vomiting)
  • 発汗(Sweating) (6332)
  • 流涎(Salivation)
  • 筋力低下(Weakness)
  • 錯乱(Confusion)
  • 呂律が回らない(Slurred speech)
  • 筋痙攣(Muscle spasms)
  • 強直間代性けいれん(Tonic-clonic movements)
  • 糖尿(Glycosuria)
  • 血尿(Hematuria)
  • 過呼吸(Hyperventilation)
  • チアノーゼ(Cyanosis)
  • 極度の疲労(Exhaustion)
  • 代謝性アシドーシス(Metabolic acidosis) (6335,103905)
  • 全身性痙攣(Generalized convulsions) (6332)
  • 意識喪失(Unconsciousness) (6334)
  • 瞳孔散大(Dilated pupils)
  • 心停止(Cardiac arrest)
  • 呼吸抑制(Respiratory depression)
  • 死亡(Death) (6332,103905)

現在、ヘムロックウォータードロップワート中毒に対する特定の解毒剤は存在しない (103905)。


有効性

ヘムロックウォータードロップワートの効果について、信頼できる十分な情報がない。


用量と使用方法

📌 適切な摂取量に関する標準的な情報はなし。
有毒植物であるため、経口摂取は推奨されない。


標準化と製剤化

  • ヘムロックウォータードロップワートの標準化に関する信頼できる情報なし。

薬との相互作用

  • 知られている相互作用なし。

サプリメントとの相互作用

  • 知られている相互作用なし。

健康状態との相互作用

  • 知られている相互作用なし。

臨床検査との相互作用

  • 知られている相互作用なし。

過剰摂取

  • ヘムロックウォータードロップワートの過剰摂取に関する十分な情報なし。

ただし、少量の摂取でも致死的な影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要。


薬物動態(Pharmacokinetics)

  • ヘムロックウォータードロップワートの薬物動態に関する十分な情報なし。

作用機序(Mechanism of Action)

使用部位

  • 根(特に毒性が高い)

主要成分

  • モノテルペン炭化水素(Monoterpene hydrocarbons)
  • オシメン(Ocimene)
  • サビネン(Sabinene) (103906)
  • オエナントトキシン(Oenanthotoxin)(主な毒性成分) (6334)

📌 特に根の黄色い汁に毒素が多く含まれる。
📌 オエナントトキシンは不飽和アルコールであり、ウォーターヘムロック(Cicuta virosa)に含まれるシクチトキシン(Cicutoxin)と化学的に類似 (6334)。

① 皮膚への作用

  • 伝統的に、葉や花は皮膚疾患の治療に使用されていた。
  • 試験管研究では、ヘムロックウォータードロップワートの地上部の精油が抗真菌作用と抗炎症作用を示した (103906)。

② 神経毒性

  • オエナントトキシンの正確な作用機序は不明だが、動物実験では「脳幹におけるGABA(γ-アミノ酪酸)作用を拮抗する」ことが示唆されている (6334,103905)。
  • これにより神経興奮が引き起こされ、痙攣や呼吸抑制を誘発する可能性がある。

まとめ

🚨 ヘムロックウォータードロップワートは、極めて有毒な植物であり、経口摂取すると致命的となる可能性が高い。
🚨 根に含まれるオエナントトキシンは、少量でも中毒を引き起こし、呼吸抑制や心停止を誘発する可能性がある。
🚨 現在、中毒に対する解毒剤は存在しないため、誤食した場合は直ちに医療機関を受診する必要がある。
🚨 外用(塗布)の安全性も不明であり、使用は推奨されない。

References

See Monograph References


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