ホワイトペッパー(White Pepper)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Piper nigrum

科名

コショウ科 (Piperaceae)

注意事項

ブラックペッパーとは異なるため、混同しないよう注意。


概要

ホワイトペッパーは、熱帯アジア諸国原産で、ブラジルでも生産されている(94016)。Piper nigrum の果実(ペッパーコーン)にはブラックペッパー、ホワイトペッパー、グリーンペッパーの3種類があり、収穫時期や加工方法が異なる。ホワイトペッパーは熟した種子を加熱・乾燥して作られ、ブラックペッパーは未熟な果実を加熱・乾燥して作られる(29995)。ホワイトペッパーはスパイシーな風味を持つが、ブラックペッパーよりもマイルドな辛さで、主に魚料理、肉料理、インスタント麺などに使用される(94016)。


利用用途

経口使用

ホワイトペッパーは胃の不調、下痢、マラリア、コレラ、がんの治療に使用される。

外用使用

ホワイトペッパーは鎮痛剤として使用される。

食品・飲料

ホワイトペッパーは風味付けに使用される。

アロマセラピー

ホワイトペッパーの精油はアロマセラピーに使用される。


安全性

おそらく安全(LIKELY SAFE)

  • 経口摂取(通常の食品量):アメリカでは「一般的に安全と認められる(GRAS)」ステータスを持つ(4912)。

  • 医薬品としての適切な使用(POSSIBLY SAFE):適切な用量での経口摂取(12)。

  • 子供(通常の食品量):おそらく安全(11)。

    • 大量摂取はおそらく危険(POSSIBLY UNSAFE):ペッパーの吸引による致死例が報告されている(5619,5620)。

  • 妊娠・授乳中:通常の食品量での摂取はおそらく安全(11)。

    • 医薬品量での安全性は不明(特に外用や精油の使用について)。


副作用

一般的な副作用

  • 経口摂取:消化不良(ディスペプシア)や胃腸の不快感(29263,29265,29266,29267)。

  • 鼻スプレーでの使用:心血管系、胃腸系、神経系、呼吸器系への影響(29263)。

  • まれに:アレルギー反応(25599,46241,88204,88206,88207)。


有効性

信頼できる十分な証拠はない(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE to RATE)。

  • 下痢:2か月〜2.5歳の小児を対象とした予備的臨床研究では、ホワイトペッパー粉末をへそに塗布することで急性または持続性の下痢の治癒率が向上した。ただし慢性下痢には効果がなかった(94016)。

    • さらなる研究が必要


用法・用量

成人の使用方法

  • 通常の推奨用量は確立されていない。


薬物との相互作用

影響を与える可能性のある薬剤

  • アモキシシリン(Amoxil, Trimox):ホワイトペッパーの成分ピペリンがアモキシシリンの血中濃度を増加させる可能性(29269)。

  • 抗凝固剤・抗血小板薬:ホワイトペッパーが血小板凝集を抑制する可能性があるため、出血リスクを増加させる可能性(29206)。

  • 抗糖尿病薬:ホワイトペッパーが血糖値を下げるため、低血糖リスクが増加する可能性(29225)。

  • カルバマゼピン(Tegretol):ホワイトペッパーがカルバマゼピンの血中濃度を上昇させる可能性(16833,103819)。

  • シクロスポリン(Neoral, Sandimmune):ホワイトペッパーがシクロスポリンの生体利用率を増加させる可能性(29282)。

  • リチウム:ホワイトペッパーの利尿作用によりリチウムの排泄が減少し、血中濃度が上昇する可能性(29225)。


作用機序

主な成分

  • ピペリン(piperine):鎮痛、抗糖尿病、抗炎症、抗がん作用を持つ。

  • 精油成分:α-フムレン、β-カリオフィレン、リモネンなど。

主な作用

  • 鎮痛作用:ピペリンが鎮痛効果を示す(29169)。

  • 抗がん作用:ピペリンが腫瘍の成長を抑制する可能性(29226,29309)。

  • 抗糖尿病作用:ピペリンが血糖値を低下させ、インスリン分泌を促進(29188,29225)。

  • 抗菌作用:ピペリンがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する抗菌作用を持つ(29172)。

  • 抗酸化作用:ピペリンが酸化ストレスを軽減(29179,29180)。


まとめ

  • ホワイトペッパーはアジア原産で、調味料や薬用に使用される。

  • 食品量での摂取は安全だが、大量摂取や医薬品としての使用には注意が必要。

  • ピペリンが薬物の代謝や吸収に影響を与えるため、特定の薬剤との併用には注意。

  • 抗がん、抗糖尿病、抗酸化作用が期待されるが、さらなる研究が必要。

References

See Monograph References


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